【地方の実家は、もはや「負の遺産」?】「実家じまい」の超過酷な現実 持っているだけで「意外なお金」がかかり、「思わぬリスク」もある
解体費用以上の価格で売れるかどうかもわからないのに、そんなお金は出せません。 ■空き家所有のさまざまなリスク しかし、空き家のまま放置するのも心配ごとが絶えません。 庭木や雑草などが伸びて近隣に迷惑をかけるリスク、家屋が傷んで倒壊するリスク、不法投棄や放火、不法侵入など、犯罪に利用されるリスクがあるからです。 また、本来は更地にするよりも家屋が建っているほうが固定資産税などの税金が安いのですが、2023年末の法改正により、放置などによって「特定空家」に指定されると、固定資産税が6倍にもなります。
管理や費用をめぐっては、県外で暮らす姉との話し合いもうまくいきません。 さらに「代々の土地を売る気か」「きちんと管理しろ」と、親族にも横槍を入れられる始末……。 「こんなことなら、家なんて相続するんじゃなかった」というのが、Uさんの本音です。 家族の楽しい思い出が詰まった家に苦しめられるというのも、せつない話です。 家の「中身」も問題です。家電、家具、寝具、衣服、日用品、雑貨、趣味の道具、食器、本……など、世帯で所有するモノは、膨大です。
■年をとると、片づけがうまくできなくなる 家財道具については、「いつか処分するから大丈夫」と考えている人も多いでしょう。 でも、今はごみの分別ルールが細かく、年をとれば分別がうまくできなくなるかもしれません。 大きな家具を移動する、業者の手配・交渉なども、高齢になれば大変です。 それに、モノのひとつひとつに入手した経緯、それにまつわる思い出があるものです。それを振り切りながらモノの処分を進めるのは、かなりの気力が必要です。
Uさんのケースでも、実家にはたくさんの親の荷物が残されたままだそう。 実際、私が終活相談などで出会った高齢者の中には、いらないものをうまく処分できず、ごみ屋敷状態の中で暮らしている方が驚くほど多いのです。 家財道具の処分を「遺品整理業者」に依頼するケースも増えていますが、国民生活センターによれば、支払額の平均は約30万円で、100万円を超えるケースもあるそう。見積もりと請求金額が大きく異なるなどのトラブルも少なくないようです。