忙しい人におすすめの「快眠術」。睡眠時間は1週間の中で調整すればOK
忙しい日は睡眠時間が短くなってしまうもの。眠れるときにはできるだけ寝ていたい、そう思って「寝だめ」をしていませんか? ここでは、疲れをしっかり回復し、睡眠の質を上げる効果的な方法を、睡眠専門医の白濱龍太郎先生に教えてもらいます。
「寝だめ」には意味がないと言いきれる理由
次の日にたくさん眠れないとわかったら、今日できるだけたくさん寝ておこうと思う人も多いのではないでしょうか。ですが、睡眠時間を前借りする「寝だめ」には意味がないということがわかっています。 睡眠の先取りをすることは、体の仕組み上できません。実際に、前日たっぷり眠ったから翌日は徹夜できるかというと、夜になればやはり眠くなります。1日、体や脳を働かせたあとには疲労がたまるからです。 一方、「忙しい平日はなかなか睡眠時間がとれないぶん、休日は長めに寝ている」という人も多いかと思います。慢性的に睡眠時間が足りないことを「睡眠負債」と呼んでいますが、少しずつでもその睡眠負債を返していかないと、体に疲れがどんどんたまっていってしまいます。こうした睡眠負債を返済するために多く眠るのには、効果があります。 つまり、「未来の睡眠を先取りしようとする寝だめはNG」ですが、「たまった睡眠負債をリセットする寝だめはOK」ということになります。 ただし、睡眠負債をリセットするために多く眠るのは、「普段の睡眠時間+2時間程度」にとどめることが大切です。2時間以上長く寝ると、体内時計のリズムが乱れてしまうためです。 また、睡眠負債はため込まず、こまめに返済することも大切です。たとえば「前日に睡眠を1時間削ったら、翌日は1時間長く眠る」「週の前半で睡眠不足が連続したら、週の後半で長めに眠る」というように、なるべく1週間の中で睡眠負債を返済することを心がけましょう。
休みたくても休めないという現象が起こっている
「ベッドに入ると、普段は忘れているような心配ごとが次々と浮かんでくる」、「気になることをぐるぐる考えてしまって、なかなか寝つけない」といった経験はないでしょうか? こういう心の状態を、マインドワンダリングと呼びます。マインドワンダリングとは、「心ここにあらず」の状態を指す心理学用語で、あちらこちらと思考がさまようので、「心の迷走」とも呼ばれます。 このマインドワンダリングは、必ずしも悪いものではありません。ぼんやりシャワーを浴びているときにふとアイデアが浮かんだり、問題の解決法を思いついたりするのは、ポジティブなマインドワンダリングといえます。 一方、「あんなことを言ってしまった」といった後悔や、「こうなったらどうしよう」という不安が止まらなくなるのはネガティブなマインドワンダリング。就寝前に始まると睡眠の妨げになってしまいます。 これの原因のひとつとして考えられるのが、「寝る前スマホ」です。スマホからの情報は思考を活性化させ、自律神経にも影響します。目の周りの筋肉が緊張し続けたり、脳が刺激されたりして、交感神経が優位になってしまうのです。 さらに、画面から発するブルーライトにより、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌を妨げてしまいます。できれば寝る1時間前にはスマホから離れるのが理想です。 そして、それでも思考が収まらず、なかなか寝つけないときは、「ジャーナリング」がおすすめです。ジャーナリングとは、思いや考えをそのまま紙に書き出すことをいいます。 思いきって起き上がり、イライラすること、モヤモヤすることなどをすべて書き出しましょう。心の中身をいったん外に出すことで、気分が落ち着いて眠りやすくなります。あとで見返せば、自分の考えや状況を客観視するのにも役立ちますよ。
ESSEonline編集部