イーロン・マスクの「息子の名前」もし一発で読めたらスゴイ
1990年代にアメリカの経済界で成功を収めた経営者、ダンラップ。彼は、自分の利益を最優先し、部下たちを恐怖で縛り付ける悪徳経営者だった。心理学者の小塩真司氏はカリスマ的リーダーのなかには「ダークな性格」の持ち主も少なくないという。では、現代のカリスマ的リーダーたちにもダークな一面はあるのか?小塩氏が解説する。※本稿は、小塩真司氏『「性格が悪い」とはどういうことか――ダークサイドの心理学』(ちくま新書)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● ダークな性格の経営者として 知られるダンラップ ダークな性格は、人間関係の中でその特徴があらわれてきます。特に、集団や組織の中で特徴が表面化することがあります。 他の人を自分の思い通りに利用する、他の人の気持ちを考えない、いいか悪いかを気にせず自分の思い通りにことを進めようとする、自分の利益を最優先に考えて他の人の負担があっても気にしない……このように、ダークな性格は人間関係でその特徴が如実に表現されます。それは、企業の中でも同じです。 ダークな性格の事例としてよく取り上げられる人物に、アルバート・ジョン・ダンラップがいます。 ダンラップは、1990年代にアメリカの経済界で有名経営者として知られる人物でした。 日本でも会員制の倉庫型巨大スーパーのコストコに行くと、アメリカのスコットというロゴがついたティッシュペーパーやペーパータオルなどを目にするのではないでしょうか。私自身も、少しだけアメリカ合衆国に滞在していた経験があるのですが、比較的安価で量も多いスコット印のトイレットペーパーをよく購入していた記憶があります。
1990年代半ば、ダンラップはいくつかの会社で経営者として経歴を積んだ後に、当時もアメリカ最大の衛生紙製品の製造・販売会社であったスコット・ペーパー社の最高経営責任者(CEO)となります。 1995年に彼はすぐにスコット・ペーパー社を紙おむつや衛生紙用品を世界中に展開するキンバリー・クラーク社に売却します。ストックオプション(自社の株を予め決められた価格で購入できる権利)と株価の上昇もあり、その売却に伴ってダンラップも多くの資産を手にすることになりました。 ● 容赦なくクビを切る 「チェンソー・アル」 1996年、ダンラップはサンビーム社の会長兼CEOに就任します。サンビーム社は、アメリカの1960年代から70年代を彷彿とさせる、トースターやミキサーなどの家電品を製造する会社でした。アメリカの古い映画に出てくるような、シルバーで大きめのトースターを思い浮かべるとよいのではないでしょうか。 ダンラップはこの会社でも、短期間でなんとか利益を積み上げ、どこかの会社に丸ごと売却することを画策します。しかし結果的に、うまくいきませんでした。