洗脳薬物実験から核の紛失まで、米国政府が隠し通せなかったおぞましすぎる極秘事件5選
核兵器紛失事件:米軍が海に落とした核兵器
冷戦時代に核兵器が増えたことで、核兵器の盗難、紛失、管理ミスという新たなリスクが生じることになった。こういった事件は「ブロークン・アロー(折れた矢)」とも呼ばれ、公式記録によると、米国ではこれまで32回起こしている。 そのひとつはこんなふうに発生した。1965年12月5日、米国の空母タイコンデロガがフィリピン海を航海していたとき、核爆弾を搭載したスカイホーク攻撃機が、パイロットもろとも海に転落した。 すぐに回収作業が始まったが、ヘリコプターとボートによる数時間の捜索を経ても、パイロットは発見されなかった。結局、パイロットも機体も核爆弾も、水深約5000メートルの海の中で行方がわからなくなった。 この事故のあと、タイコンデロガの乗組員には、かん口令が敷かれることになった。海軍の艦船に核兵器が搭載されていることを公にされたくなかったからだ。 海軍は1981年にこの事故の存在を認めたが、厳密に何が起きたのかは明らかにはされなかった。その8年後、ウィリアム・アーキンとジョシュア・ハンドラーという学者が、米国立公文書館の文書を公開したことで、この事故に注目が集まることになった。 MKウルトラやコインテルプロといった計画は、すでに歴史と言えるものかもしれない。しかし、現在どんな秘密活動が行われているのか、そしてそれがいつ明かされるのかに関心を持つ米国人は多い。 コネリー氏は、次のように記している。「機密解除と透明性の問題は、政府の秘密主義を打破するという話ではない。目指すべきことは、本当に保護する必要がある情報と、指導者の説明責任を果たさせるためにどうしても市民に必要な情報を分けることである。それこそが、国家の安全保障と国内の説明責任を両立させる唯一の方法なのだ」
文=Parissa DJangi/訳=鈴木和博