iPS細胞の自動作製開始へ 4月から新施設で 京都大財団
さまざまな細胞に変わる人工多能性幹細胞(iPS細胞)を患者自身の血液などから作って提供を目指すプロジェクトを進めている京都大学iPS細胞研究財団(山中伸弥理事長)が、細胞作製作業の自動化に成功した。大阪市内に新設する施設で今年4月から心筋や神経などの細胞の自動作製を始めて凍結保存。今後、安全性や有効性を検証する。 【写真】人工多能性幹(iPS)細胞の顕微鏡写真 患者本人の細胞から作る「マイiPS細胞」であれば、免疫による拒絶反応が起こらず、病気の特性に適した細胞の移植が可能になる。ただ、手作業だと1人分の作製に半年程度、約5000万円必要だった。 財団はドイツ製の免疫細胞作製装置を導入。健常者の血液と試薬、特定の遺伝子を閉鎖型の装置内で自動的に混ぜて培養し、1カ月ほどで作製に成功した。完成したiPS細胞は液体窒素で凍結保存する。 新施設には同装置を4台入れ、年間20人分の作製が可能な体制を整備する。キヤノンやパナソニックと共同で日本製装置の開発も進め、10年後には計200台まで増強。年間1000人分作る一方、1人100万円への費用縮減を目指す。 同財団の塚原正義研究開発センター長は「拒絶反応が起こらない自家細胞治療を多くの患者が利用できるようにして、治療の選択肢を増やしたい」と話している。