死者少ない要因は 専門家会議が会見(全文5)議事録どうするかは政府が決めること
政府の水際対策への評価は
朝日新聞:すいません、朝日新聞の姫野と申します。2点お願いいたします。今回、現段階での評価ということをまとめていただいたんですけれども、これまで専門家会議の先生方は水際対策の強化という提言もされてきたんですが、政府がこれまで行ってきた水際対策の強化の対象だったりタイミングについて、どのように評価されているかもう少し詳しくお願いします。 脇田:最初の、われわれがいわゆる第1波と言っているところは中国・武漢、そして湖北省から流入といいますか、渡航者の方からウイルスが入ってきたということはもうゲノム解析でも明らかですよね。一方で、2番目のいわゆる第2波と言っているところは、渡航者というよりもむしろ日本からヨーロッパ、あるいはエジプト等に旅行をして、それで知らない間に感染をして帰ってきているということが最初あって、その後そういった株が入ってきたということになりますよね。 3月17日にわれわれは文書を出していますけども、水際対策をするべきであるということは、もうそれまでのクラスター対策のところで輸入例があるということが分かってましたので、それを止めるためにお願いをしたというところですね。それが今までの流れだと思います。 朝日新聞:評価について。 脇田:ですからそのあとは、ヨーロッパからの流入を起点とした感染拡大というのが今回の第2波で感染の拡大につながったということは議論しています。それが評価ですかね。
宣言前に感染者数が減少した要因をどう分析するのか
朝日新聞:すいません、もう1点なんですが、今回ピークが推定感染時刻ベースだと4月1日ごろということになっているんですけども、今回そのあとに感染者数が減っていくということなんですが、その要因として市民の行動変容だったり、水際対策の強化なども関係している可能性があると思うんですが、緊急事態宣言を出す前に感染者数が減少していったことの、その要因というのをどのように分析しているか教えてください。 西浦:今日、スライドで出していたもう1つの図があるんですけど、ここで見ていただいて分かるとおり、3月25日というのが東京都知事によって感染爆発重大局面ということで強い外出自粛を要請していただいた日で、そのあとから実効再生産数が1を割った値を取っています。それは4月1日までにもう感染者数が、推定感染時刻でいくとピークを打つということの要因になっていると考えているんですけど、実際のところでは、今、研究ベースでその背後で何があったのかというのを詳細に振り返っているところです。 3月の29日には夜の街のクラスターの話をしましたし、今振り返ってみると3月25日以降ほぼ毎日のように東京都ではなんらかの対策を呼び掛けて、東京都の街ではまず百貨店が一部休業になり、そのあとまた別の百貨店が閉まり、夜の歓楽街が少し暗くなってしまってというようなことを段階的に繰り返して、4月1日に実効再生産数が1を下回っていました。 そこを少しずつ分解をして、どこまで急所を、この新型コロナウイルス感染症の伝播で特に重要になるだろう急所の部分を休業要請することで、実効再生産数がうまく1を割っていったのかということは、このあと時間を掛けて明らかにしようと思っています。現段階では完全に分解できて分かっているわけではなくて、この3つに分けたようなフェーズでやっと理解されつつあるというところです。 朝日新聞:ありがとうございました。