ペダルがあって自転車みたいに見えるが、実は免許が必要なモペット。「自転車かと思った」の言い逃れをどう防ぐ
「止まってください!」。東京都新宿区の靖国通りで、警視庁の警察官が自転車のようなペダル付きの車両に乗った男性を呼び止めた。路肩で車体を念入りに調べ始める。持ち上げてハンドル付近を操作すると、浮かせた後輪が高速回転した。目を光らせた警察官が「免許証、見せてくれますか」と事情を聴き始めた。 【写真】酒を飲み時速140キロ、被害者を60メートルもはね飛ばしたひき逃げ犯 被害に遭った若い男性の遺影が視界に入らないよう、被告は自分の右足のつま先ばかりを… 男性は即死 事故当時、助手席の女性は「怖いって!アカンって!」と叫んだが… 捜査員は激怒「これが危険運転でなければ、何が危険運転に当たるんだ」
男性が運転していたのは「モペット」と呼ばれる乗り物だった。自転車ではなく、スクーターと同じく免許が必要な原動機付き自転車(原付き)やバイクに分類されるが、自転車のように利用したことによる違反や事故が増えている。 実際、取り締まり現場では、利用者が「自転車だと思っていた」と説明していた。新しいモビリティにどう対応するか、警察の動きを追った。(共同通信=武知司) ※筆者が音声でも解説しています。「共同通信Podcast」でお聴きください。 ▽モペットは自転車ではない モペットはペダルをこがなくても、モーターで自走できるペダル付き電動バイクのこと。「motor(モーター)」と「pedal(ペダル)」の組み合わせが語源とされる。 道路交通法(道交法)上は原付きやバイクに分類される。運転免許のほか、自賠責保険への加入、ミラー取り付けなどの保安基準を満たさなければ公道は走れない。ヘルメット着用も義務で、歩道走行は不可だ。
報道陣に取り締まりが公開された11月1日は、改正道交法が施行される日だった。新宿で取り締まりを受けた男性の車両には、義務付けられているミラーやナンバープレートがなかった。ヘルメットも非着用。警察官に違反を指摘されると、男性は「自転車だと思っていた」と答えた。 警察はこれまでも、利用者にモペットとの認識があったかなかったかにかかわらず違反を摘発してきた。一方で「知らなかった」と主張するケースも多かった。 この日、靖国通りでは、1時間半ほどで13件の違反で8人を取り締まった。ただ、警察官の制止を振り切り、多くの人が行き交う歩道をハイスピードで逃走した車両もあった。 ▽道交法改正、その狙いは 今回の道交法改正では、モペットをペダルだけで走行しても原付きやバイクの運転に該当すると明文化された。ただ、モペットには改正前から原付きやバイクと同じルールが適用されてきた。では何のために明文化するのか。
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