2回コロナ感染、左腕骨折でも「災難じゃない」――ゴリエ旋風で人気再燃、ゴリ49歳の恩返し
「ゴリエ旋風」が吹き荒れている。ガレッジセールのゴリ(49)がかつてコント番組で演じていた底抜けに明るい女性キャラクター「ゴリエ」が、昨年から立て続けにCMやバラエティー番組に出演して大反響を巻き起こした。今月から冠番組も始まった。ここ10年ほどで主な活動の舞台をテレビから映画製作、小説執筆などの創作活動にシフトしているゴリは今何を思うのか。(取材・文:ラリー遠田/写真:木村哲夫/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
49歳のゴリエ「痛々しくなんないかな」
「ゴリエブーム」のきっかけは、先輩芸人・宮迫博之のYouTubeチャンネルで昨年2月、ゴリエとして15年ぶりにパフォーマンスをしたことだった。さらに同じ時期にゴリエへのCM出演のオファーも届く。この二つの復活劇がたまたま重なり、運命の歯車が動き出した。 「『イエーイ』っていう気持ちにはならなくて、変な感じでした。やっぱり僕の中では、彼女(ゴリエ)は一回棺桶に入っているから。50手前のおっさんが今さら『ヨ・ロ・コ・ビ~』とか『ペコリ』とか言って痛々しくなんないかなと思って、変な感じでした」 現在のゴリが「ゴリエ」というキャラクターをここまで突き放して冷静に見ているのは、本人の中でやり尽くした意識があったからだ。バラエティー番組『エブナイ』(2000~01年、フジテレビ)、『ワンナイR&R』(01~06年、同)でゴリエを演じていた頃、これらの番組に全精力を注ぎ込んでいた。 「あの頃の僕は四六時中コントのことばかり考えていて、何かアイデアを思いついたら、夜中だろうが構わずにディレクターに電話していました。僕だけ収録の何日も前から台本をもらって、真っ黒になるまで書き直すんです。とにかく面白いって言われたいっていうのがあって、人生を懸けていました」
それだけに、すべてを捧げた番組が終了を迎えると聞いたとき、大きなショックを受けて無気力になった。番組の枠を超えて爆発的な人気を博し、雑誌のモデルになったり、『NHK紅白歌合戦』にも出場したりした伝説のキャラクター「ゴリエ」の命も、このときに燃え尽きたものだと思っていた。だが、いざゴリエとしての活動を再開してみると、予想以上の反響があった。 「僕のYouTubeチャンネルでゴリエちゃんのPVの再現動画を公開したら、コメントがたくさん寄せられていて。単に『うれしい』っていうだけじゃなくて『泣けました』とか『がんばってるゴリエちゃんを見て勇気をもらっていたので、そのときの気持ちを思い出しました』とか、そういう声が多かったんです。 だから、総合演出の人とも話して、新番組『ゴリエと申します。』は、全国の人に元気を与える番組にしましょう、って。ゴリエちゃんは今まで見てもらう存在だったんですけど、今回は自ら全国いろいろなところに行こうと思っています」 昔に比べると体力も落ちているし、ダンスの振り付けもすぐに忘れてしまう。アラフィフのおじさん芸人が演じる令和版「ゴリエ」は常に満身創痍だ。でも、年齢を重ねて新たに学んだこともあった。 「今はあんまり欲張らず、がんばりすぎずにやろうと思っています。昔はどんな仕事でも『結果残してやろう』とか『絶対目立つぞ』とか思っていたんですけど、こっちががんばって笑わせようとすればするほど、見ているほうは疲れてしまうんですよね。本当は肩の力を抜いたほうがみんな喜んでくれるし、笑ってくれるっていうのに気づきました。だから、年取るのっていいなと思いますね」