“キラキラネーム”は日本の文化? 好きだったけど…改名に踏み切った子の葛藤
そんなとき知人から「改名ができる」と教えてもらい、昨秋、思い切って改名の手続きをした。それは決して自分の名前が嫌いだったからではない。 「私は以前の名前がキラキラネームだったとは思っていないんです。親が心を込めてつけてくれた名前だと知っているので」
戸籍法改正で“キラキラネーム”が認められなくなる?
今年6月、改正戸籍法が成立した。従来、戸籍には「読みがな」を記述する欄はなかった(出生届にはある)が、今回の法改正で読みがなが追加された。2024年度にも見込まれる法施行の後、国民には1年以内に届け出てもらう運びになっている。 背景にあるのは、行政のデジタル化、とりわけマイナンバーカードだ。戸籍に読みがなが必須となることで、戸籍データが検索しやすくなる。戸籍、マイナンバー、金融機関の口座情報をスムーズに連携させようというのが狙いだ。 そこで注目されたのが、キラキラネームと呼ばれる名前が今後どういう扱いになるかという問題だ。戸籍法改正では、戸籍に「読みがな」を追加すること以外に、もう一点重要な変更がある。これから生まれてくる赤ちゃんの名前の読みがなについて、自治体が認めるかどうかの判断がなされることだ。つまり、場合によっては届け出の際に認められない可能性が出てきたのだ。
そもそもキラキラネームとは何か。その定義は明確ではないが、『キラキラネームの大研究』(新潮新書。2015年)によれば、苺苺苺と書いて「まりなる」、愛夜姫で「あげは」、心で「ぴゅあ」など〈これまでの日本語の名前になかったような音の響きをもっていたりする「読めない名前」〉としている。 同書で紹介されているキラキラネームは非常に多彩だ。 〈男の子に「澄海(すかい)」、「在波(あるふぁ)」、「今鹿(なうしか)」、女の子に「心愛(ここあ)」、「王冠(てぃあら)」、「希星(きらら)」など〉 また、秋田県での広報誌からの調査で、颯琉(そうる)、煌理(きらり)、栞來(かんな)、心結(みゆ)、月(るな)などが実際に確認された例として示されている。 著者の伊東ひとみ氏は、キラキラ感について〈「フリガナがないと読めない」ことに加えて、「フリガナがあっても、読み方に違和感が残る」〉ことを指摘している。