死者少ない要因は 専門家会議が会見(全文3)非常に見えにくいウイルス
データが迅速に集約できないのはフラストレーション感じる
鈴木:感染研感染症疫学センターの鈴木です。感染症に関するデータ、新型コロナに関するデータがなかなか迅速に国のレベルにまで集約できない、それを迅速に公表まで持っていけないというのは常にわれわれもフラストレーションを感じながらずっとやってきております。その要因としては幾つかあります。いろいろな歴史もありますけれども、基本的にまず、すでにご承知のように、診断をした医師がそれをファクスで保健所に届け出る。保健所レベルでまず1回スクリーニングをして、これはちゃんと診断基準を満たしているということを判断してからコンピューターの端末にデータを入力する。入力したデータは一度、都道府県のレベルでもう1回、確認をして、それがさらに厚生労働省あるいはわれわれ感染研のところで最終的にスクリーニングを行うと、こういった複数のステップを経てようやく国の公式のデータになるというステップを踏んでいます。 これは精度を保証する、つまり正確性を高くするという意味では非常に有効なんですけれども、一方でやはり迅速性に欠けるということがあります。特に今回のような、緊急に症例数が増えてきて、もう現場はものすごく忙しくなっていますとなると、なかなかデータの入力が追い付かない、あるいは都道府県のレベルでのデータの確認が追い付かないということで、迅速に症例数を国のほうから公表ができないといった状況が発生してきています。 あともう1点は、基本的にやっぱり自治体のレベルで情報を集約しています。例えば積極的疫学調査などのデータ、非常に詳細なデータは各自治体・保健所のレベルには集約されているんですが、それを国に集約するというシステムはもともとないです。それを集めましょうというふうに声掛けをしても、なかなかこういった忙しい状況の中で現場から全てを集約するということが難しいといったことが現状、まだ十分に改善されていないというのが1つあります。 ただ、こういった状況はやはり改善していかなくてはいけないということで、新しく新型コロナウイルスに関してはHER-SYSという新しいシステムが立ち上がるということになっています。ただ、これもまだちょっと、まだ運用し始めてみないと分からないというところはありますので、まだしばらくは課題を抱えながら進めていくことになると思います。