死者少ない要因は 専門家会議が会見(全文3)非常に見えにくいウイルス
他にさかのぼりの調査をしてる国は
北海道新聞:北海道新聞の荒谷と申します。押谷先生にお聞きしたいんですけども、わが国のクラスター対策マル2のところにある、ほとんどの諸外国では前向きの接触調査とあるんですが、どこかさかのぼりの調査をしてる国があるのかどうかということと、さかのぼり調査をほとんどの国がしてない理由を知りたいんですけれども。 押谷:われわれのほうでも少しそのことについては調べました。全ての国のそういうプロトコルを精査するわけにはいかないので。われわれが調べた限りでは、台湾のプロトコルの中にはさかのぼり調査をするということが書いてあります。実際にはそれほど台湾は、先ほど尾身先生のほうから説明があったように、それほど感染拡大が起きてないのでどこまでやってるかははっきりしませんけれども、そういうことは書いてあります。 欧米のプロトコルは幾つか、それも全てではないですけれども、調べましたけれども、そういうさかのぼりをして感染源を見つけるということはプロトコル上、書いてないです。その理由は幾つかあるんですけれども、1つは、封じ込めをそもそも目指していってる。このウイルスって非常に封じ込めすることが難しい、もうほぼ封じ込めが不可能だということがわれわれは最初から説明していることなんですけれども、封じ込めを目指すとそういう、できるだけ感染者を見つけて前向きに接触者を徹底的に追い掛けていく、これが封じ込めの基本的な戦略になります。 2003年のSARSも、アフリカで繰り返し起きているエボラとかの封じ込めの戦略もそういう形になります。それをやると、どうしても見逃すことが起こりうるので、見逃された感染者から感染拡大が起こるということが起きてしまうので。しかも多くの人は誰にも感染させていないということを考えると、接触者から実は感染者が出る確率っていうのはそんなに高くないということも分かっています。 なぜ日本だけというか、ほかにもやっているところはあるかもしれませんが、日本で感染源調査ができたかっていうことはこれからいろいろ精査をしていかなきゃいけないことなんですけれども、実は日本の保健所は最初から感染源調査をしています。ご記憶かと思いますが、いったん中国からの渡航者、その接触者で感染が最初のころに見れていて、一時期、見えなくなった。2月の13日に突然、全国で感染者が続発したということがあったのをご記憶だと思いますけれども、その2月の13日に感染者が見つかって、14日、15日ぐらい、だから翌日、翌々日ぐらいに和歌山とか東京都とか愛知とか、そういったところでもうクラスターを見つけてるんですね。