死者少ない要因は 専門家会議が会見(全文3)非常に見えにくいウイルス
孤発例の意味付けできたのは大きい
さらに、今おっしゃったように、クラスターがたくさんできてしまうと、1つ1つのクラスターにきちんと、保健所は実は1つ1つのクラスターにかなりきちんと対応してきています。だけれどもそれが全体の、われわれの解析のところに来るのに、やっぱり少し遅れるとか、そういうことでなかなか1つ1つのクラスターを綿密に解析することができないフェーズはありました、確かに。だけれどもそのクラスターを見つけることで、クラスターの周りの、これももう皆さんよく分かってると思いますが、孤発例といわれるものが見つかる。孤発例の意味付けということができたということが大きいです。 孤発例がたくさんできるということは、その裏側に、さっき尾身先生が言われたように、クラスターがきっとあるはずだという前提に立つと、孤発例がたくさん出るということは、それだけ地域で、地域内での感染伝播がある可能性がある。そうすると緊急事態宣言をしたように、より積極的な対策をしなきゃいけない。そういう兆候を見つけられるっていうことがクラスターを見つけることの意味なので。 必ずしもたくさんクラスターが出てくるとわれわれのやってることが破綻するということではないんですね。そういう状況になってもクラスターをできるだけ発生を抑える。だから外出の自粛とかをすると、あとは緊急事態宣っていうことでより注意を喚起すると、クラスターの起きそうな場に行く人たちが激減するので、そういうようないろいろなことを組み合わせてわれわれはやってきているということになります。
保健所のマンパワーが取られ過ぎでは
東京新聞:すいません、もう1点だけ。今回、保健所のマンパワーがクラスターのほうに取られ過ぎて検査とかに回らなかったとか、その辺りのご認識っていうのはどうですかね。 尾身:それはむしろ、これはもうわれわれ、前から申し上げていましたけど、保健所というのは本当に多くの仕事、ルーティンの仕事もありますよね。その上に今回は何をやったかというと、帰国者の相談センターの窓口。これはもうものすごい、当時一番、感染が大変だったときは、それに応えなきゃいけない。それから検体の輸送も自分らでやらなきゃいけない。その上にクラスターもやらなくちゃいけないということで、われわれの当初からの政府への提言は、もう帰国者の相談とかっていうのを医師会なんかがだんだん出てやってきていますから、もうそういうことはそういうところから解放して、クラスターだけに集中してくださいということで、今は少しずつ改善されていると思います。 東京新聞:ありがとうございました。