日銀・黒田総裁会見1月18日(全文1)現在の金融緩和を修正する必要はまったくない
所得が増える中で物価上昇が進むことを期待
一方で賃金につきましては、確かにわれわれとしては非常に注視をしておりまして、そもそも物価上昇が範囲が広がり持続するということのためには、やはり賃金が上がっていかないとそういうふうにならないと。あくまでも私どもが目指しているのは景気が拡大し、需給ギャップが拡大する下で物価が徐々に上がっていく、そして賃金も上がっていく、そうした中で予想物価上昇率も上がっていくという形で、所得が増える中で物価上昇が進んでいくということを期待して、そのように今、行っているわけであります。 仮に賃金の上昇を伴わずに資源価格、国際商品価格の上昇を主因とする物価上昇というものが起こったとしても、それはリーマン・ショック前の2008年に典型的に見られたとおり、一時的にとどまるということであって、やはり持続的なものにはなり得ないというふうに思っております。あくまでも私どもとしては景気が拡大し、あるいは需給ギャップがプラスに転化していく中で、賃金・物価が上昇していくという好循環の下での物価目標の達成ということを目指しておりますし、そのようになるように私どもとしては必要な金融緩和を粘り強く続けていくというつもりであります。
任期中に正常化の議論をする可能性はあるのか
共同通信:共同通信の【モリナガ 00:25:44】と申します。よろしくお願いいたします。先ほどのちょっとブルームバーグさんの質問とも絡むんですけども、22年度の物価見通しが1.1%となって、目標とする2%には遠い状況が続く中で、黒田総裁の任期っていうのも、あと来年の4月まで限られていると思うんですが、今の現段階のお考えとして任期中にちまたでいわれている正常化の議論とかをする可能性があるのかないのかっていうのを、ご自身として今どのように思われているのかをあらためて教えてください。 黒田:私の任期は2023年4月ですけども、何か任期と合わせて正常化を議論するとかいう、そういうつもりはまったくありません。展望レポートでもお示ししたとおり、2023年の見通し期間の終盤でもまだ2%にかなり遠い1%程度ということですので、正常化といった、出口とかそういう議論ができるような状況ではないというふうに思っております。 【書き起こし】日銀・黒田総裁会見1月18日 全文2へ続く