不吉なジンクス?!朝倉兄弟は6.13RIZIN東京ドーム大会で揃って勝利できるのか
「自分も相手も想定していない展開に持ち込みたい」 そのひとつが「プランに入っていなかった」と正直に明かすカーフキックである。海が堀口戦で露呈した弱点。 「試合になったら出すかもしれない。自分も想定してない試合をしたいと言ったでしょ? カーフキックが流行る2年前から練習ではずっとやっている。意外と体には染み込んでいる。盛り上がるんだったら出したい」 ただ本当にカーフを準備しておらず、打撃で応戦せずに得意の寝技勝負と考えているのならば、海有利の予想を覆すのは難しいのかもしれない。 海にとって敵は油断だろう。それでも「油断はまったくしていない。周りが僕が勝つと予想しているので僕にとっては負けたら凄くリスクの高い試合。その分油断はできないし、しっかりと勝つために追い込んできた」とスキはない。 その言葉通り、元K-1のカリスマ、魔裟斗とのYouTube企画での対談にインスパイアされ、これまでしてこなかった走り込み、階段ダッシュ、縄跳びなどのトレーニングを取り入れ「足の動き、ステップ、スピードが上がった」との手ごたえがある。 バンタム級トーナメントは、9月に準々決勝、年末に準決勝、決勝が行われるハードロードだが、海が優勝後に見据えているのは、堀口との3度目対戦ではなく海外進出だという。 「目標は世界でチャンピオンになることで堀口選手に勝つことが目標ではない。それを考えたときに一番近い道を行きたい。その途中にリベンジがあるなら、やらない理由はない」 海の自尊心がチラつく。あえてバンタム級トーナメント参戦を決めた骨太のモチベーションである。 今回、朝倉兄弟揃い踏み勝利のカギを握るのは兄の未来の方だろう。クレベルは柔術をバックボーンにポーランドの格闘技団体「KSW」でフェザー級のベルトを巻いた実力者。寝技に引き込めば“神テクニック”で締め落とす。プロ戦績は27勝5敗だが、そのうち3敗はルーキー時代のもので、あとの2敗はタイトルマッチの惜敗。パンクラス参戦時には矢地佑介にも1本勝ちしている。 東京ドームでRIZINライト級王座決定戦に挑む同門のホベルト・サトシ・ソウザが、「凄い選手がいる」とリング上に招き入れて参戦をアピール。昨年大晦日にRIZINデビューが実現して、以来2連勝中。「アサクラはオレと戦え」と声をあげ続けてファンの間でも対戦が熱望されていた本物のカードだ。まだ格闘技ファンの間にしか浸透していない名前だが、いまや日本の格闘技界を代表するスターで、斎藤裕に判定負け後に復帰ロードを歩む未来にとっては、危険きわまりない相手。濃厚な勝負論が詰まった最高峰のマッチメイクである。 未来にも相当の覚悟がある。