【KEIRINグランプリ】北井佑季はなぜ先行できなかったのか GPを3度制した山田裕仁氏が語る“一発勝負で勝つために不可欠なもの”とは
一発勝負レースで勝つために必要なもの
つい先日、私の同期であり、よきライバルであり、憧れの存在でもあった神山雄一郎選手(61期=栃木・56歳)が、現役を退きました。デビューからエリート街道を邁進し、レジェンドと呼ばれるまでになった彼が熱望し、何度も2着になるもついに手が届かなかったタイトル。それが、グランプリです。勝てるだけの力があって、経験値も十分にあって、それでも手が届きそうで届かない。それほど“特殊”なレースです。 私は幸い3回も優勝できましたが、それはすべてがうまく噛み合ってくれた結果で、勝ち運にも恵まれた。古性選手が優勝者インタビューで「作戦通り」と語ったのは、そういうことでもあるんですよ。北井選手が緩めたところで、何の躊躇もなく前を叩きにいって、主導権を奪いきった脇本選手。あの最高のタイミングでの仕掛けも、グランプリという舞台を何度も経験している、歴戦の猛者だからこそです。 とはいえ、あの位置からの仕掛けで最後の最後まで粘り抜くのですから、脇本選手の能力はやはり卓越している。脇本&古性という二枚看板を持つ近畿に、他地区がどのように立ち向かっていくのかと、来年が早くも楽しみですよ。あとは…若手の育成と経験値のためにも、9車のレースをもっと増やして欲しいと切に願います。レースの組み立てというのは、場数を踏まねば絶対に身につかないものですから。 今年も1年、この回顧にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。来年、競輪という競技がもっと盛り上がるように。そして、新たに興味をもってくださった方に、この競技の面白さや奥深さをもっとうまく伝えられるように…と、今後も微力を尽くしていく所存です。新たなるスターの誕生が誕生するのか、それとも古豪が力の差を見せつけるのか。2025年の競輪にも、どうぞご期待ください!