2025年「日本企業が直面する」3つの“本質的問題”はこれだ ビジネス現場で増える「厄介な問題」…解決法は?
②複雑な問題(ComplexProblem) 解決すべき問題も解決方法も複雑で、それらを定義するところから始めないと解決できない問題。 しかし、論理的に問題の構造を解き明かしていけば、試行錯誤に時間はかかっても、解決が可能。 ③厄介な問題(WickedProblem) 問題が複合的な要因で形成されていて、何が問題なのかを定義することすら困難な問題。 多数の因果関係が絡み合っていて、「そもそも何をもって解決したとするのか」を定義するのかが困難。
「③厄介な問題」の具体例としてよく取り上げられるのは、地球環境問題や貧困、いじめ、大規模災害などの社会問題である。 ビジネスの世界でも、「厄介な問題」は間違いなく増えている。 たとえば、「小分けシャンプーのジレンマ」はよく知られる例だ。 先進国の企業は発展途上国の経済的に恵まれない人たちが買えるようにと、小さな包装の小分けされたシャンプーを使い切りの形で売っている。 そのこと自体は途上国の人たちにとってありがたいことであるが、その包装のゴミが大量に捨てられている。
途上国にはリサイクル処理施設はなく、捨てられた大量のゴミは生活環境を悪化させ、地球環境に負の影響を与えてしまう。 貧困のため大きなボトルのシャンプーを買えない人たちの衛生の問題は解決したが、それが別の大きな問題を引き起こしてしまう。 「厄介な問題」を定義した数学者のホルスト・リッテルは、「厄介な問題」の特徴として次の10を挙げている。 特徴① 正解がない 特徴② 「解けた」という状態が見分けられない
特徴③ 客観的な正誤は存在せず、「まあまあ好ましい」(better)か「好ましくない」(worse)かしかない 特徴④ テストする術がない 特徴⑤ どんな解決策も一時的な操作にすぎない 特徴⑥ 要素分解できず、操作しようにも説明する術がない 特徴⑦ それぞれがほかに存在しない固有の問題である 特徴⑧ 別の問題の症状として発現している(解決を行っても、新たな問題が生じることは避けられない) 特徴⑨ さまざまな切り口で説明できても、全貌はつかめない