年収1400万円大手商社マンが専業主婦の妻と離婚…「生活レベル」を落としたくない妻の「要求」
離婚を機に、起きた変化
言葉にはとげがあったが、その口調にはまんざらでもない気持ちがにじみ出ていた。マミは、離婚を機に確実に自立の道を歩んでいるようであった。面会交流は、子どもとひとりずつ会う時間も作りたいので、月に2回に増やすことも併せて決まった。 太一は、「一緒に住んでいたころより、むしろ離婚後の方が子どもと向き合うようになったと思います。マミの大変さも今の方が分かります」ともらした。 マミは、調停人だけにこんなことも言った。「友達から、太一さんは離婚後もちゃんと『パパ』をやってて偉いねと言われることがあります。でも、私には気楽な一人暮らしにしか見えなくて、男って本当に自分勝手ですよね。面会交流も、太一さんは楽しい時間だけでずるいなって。でも、最近になってようやく、自分ひとりの時間ができて助かると思えるようになりました」
専業主婦家庭特有の「難しさ」
共働き夫婦も専業主婦家庭もそれぞれに良い点や難しい点がある。しかし、筆者の独断と偏見で書かせてもらうと、専業主婦家庭の方が夫婦関係に亀裂が入りやすいと感じている。理由は以下の4点だ。 ・対等でいることが難しい 家計を支える夫の方がどうしても発言力が強くなり、妻の立場が弱くなりがちだ。家事・育児については妻が主導権を握ることが多いが、「それぞれ得意分野があって対等な関係」となることは少ない。大抵はお金を握る夫が強くなる。 ・コミュニケーションが少なくなる 共働き夫婦は、育児休暇が終了し、職場復帰する段階で家事・育児の分担について話し合うことが多い。もちろん、復帰後も調整や話し合いが必要だ。そうしたコミュニケーションを通じて、互いが感じていることや何を手伝ってもらうと嬉しいのかといったことに相互理解が深まっていく。一方、専業主婦の妻と外で働く夫という関係は、役割分担が明確だ。その結果、ちゃんと話し合いをしなくても、何となく家庭がまわっていく。こうしたコミュニケーションの差が夫婦関係に問題が生じた際の解決力の差につながるように思う。 ・相手への思いやりをもちにくい 家事育児しかしていない妻は、夫が外で働く辛さが分からないかもしれない。休日に朝寝坊する夫を見て、「あなたはいいわね」とつぶやきたくなる。また、夫もしかりである。育児・家事をしていないと、妻の大変さが分からない。「俺が働いている間、お前は子どもと遊んでいればいいから楽だよね」となる。相手の大変さが見えないと、ついつい「自分ばかり大変」という思考になってしまい、相手への思いやりの気持ちがなくなってしまうのだ。 ・子育てが難しくなる 専業主婦がひとり家にいると、家事や育児が十分に行き届くと思われるかもしれない。しかし、夫婦間の関与のバランスが著しく偏った結果、妻が子育てにのめり込むこともある。妻の子どもに対する過剰な感情は、薬にもなれば毒にもなり得る。また、子育ては多く課金すれば成果が得られるというものではない。 <まとめ>