年収1400万円大手商社マンが専業主婦の妻と離婚…「生活レベル」を落としたくない妻の「要求」
役割分業を背負い過ぎない
このように、専業主婦の家庭、夫婦関係に問題を生じやすいように思う。一方、妻は離婚後の経済面が不安で簡単には離婚できないし、夫は子どもとの関係継続に不安があり、離婚に踏み切れない。そのため、問題を抱えながら、何とか「形」を保っている夫婦が少なくない。 今回は、夫から妻に離婚を切り出したケースだが、もちろん逆もある。夫が「妻は専業主婦だから、多少不満があっても離婚はできないだろう」と安心しきり、思いやりを忘れていると、突然離婚を切り出されて青天の霹靂、といったことになる。 専業主婦の核家族というのは、戦後の日本社会のなかで基本となる存在だった。しかし、いまや、この古い理想像の中で無理をしようとしても、かえって幸せを遠ざけるような力みにつながることがある。お金を十分稼いでくる正しい父親、子どもの教育を導く正しい母親という役割分業を背負い込みすぎないことが大切だ。そして、互いの役割に多くを求めないことも大切だ。まず、自分に対して、次に相手に対して、可能な範囲で良いから、おおらかにふるまおうという心持ちを持ちたい。そうすることで、家庭内の役割分担がうまくいかないとき、「こうあるべき」というべき論ではなく、「今あるもの」を前提とした柔軟な話し合いができるのではないだろうか。
小泉 道子(家族のためのADRセンター代表、臨床心理士)