王者争いの予選でまさかのスピンを喫した平良響。「頭が真っ白に」から切り替えて獲得した3番手/スーパーGT最終戦鈴鹿
12月7日に鈴鹿サーキットで行われた2024スーパーGT最終戦のGT300クラス公式予選。ランキング3位から逆転チャンピオンを目指す2号車muta Racing GR86 GTは、Q1で平良響がコースアウトを喫したが、そこから復帰して上位グリッドを決めるアッパー14に進出し、堤優威がドライブしたQ2で予選3番手を得た。予選後のふたりに聞いた。 【写真】平良響と加藤寛規監督(muta Racing GR86 GT)/2024スーパーGT第5戦鈴鹿 今季の開幕戦で優勝を飾り、サクセスウエイトを重ねながらも上位でシーズンを争ってきたmuta GR86。最終戦にはランキング3位で臨むが、逆転チャンピオンには予選3番手以上かつ決勝優勝が最低条件という厳しい状況。そのなかで迎えた重要な予選でQ1を担当した平良がコースアウトからのスピンを喫してしまった。 「デグナーひとつめの縁石に少し乗りすぎてしまい、クルマが跳ねてバランスを崩してしまいました。西日で見えにくくて少し早めにターンインしたこともありますけど、自分としては大きな失敗でした」と振り返る平良。 「本当に一瞬頭が真っ白になりました。けど、予選終了までの時間がまだありましたし、タイヤもアタックを続けられる分は残っていることは分かっていました。なので一度冷静になって頭を切り替えて、次の周でしっかりアタックすることにしました」 タイトルを争う予選でコースアウトという、通常だったら体が凍りついてしまいそうな経験をした平良だが、ウォームアップの段階から「上位にいける」ことを感じており、それが再起へのきっかけになった。 「その後アタックしているときには、もちろんコースアウトしたことは本当に忘れ、記憶から消した状態で走ることができました」 「ただ、タイムボードで88号車(ランキング2位のVENTENY Lamborghini GT3)がトップと見たときは『やられた……』と感じましたし、こちらが届かないようなタイムだったので、そちらのほうがメンタルはキツかったですね」 一方でパートナーの堤は、平良がスピンしたときには「やっちゃったな……」という気持ちで見ていたと言う。 「攻めた結果なのでしょうがないですけど、大事な場面だったので『残念』という感じでした。でも、その後しっかりとタイムを出してくれたのは良かったです」 そんな状況でQ2を担当することになった堤だが、自身の走りは「70~80点」と少し納得していない部分がある様子。それはQ1からQ2に向けてセットアップを変更したが、うまく決まらなかったためだ。 「ダンロップコーナーなどで少しオーバーステアが出ていたので、それを抑える方向に変更したのですけど、逆に少しアンダーステア傾向になってしまったので、乗った感触としては変えずにいったほうが良かったかなと感じました」 「でも、それを言ったところで、もっと上位に割り込めるかと言うとそうではなかったですね。タイムを上げても僅かだと思いますし、僕も自分のなかで満足できるアタックではなかったので、僕も勉強し直して頑張ります」 話を聞いてるときには、加藤寛規監督が「ペナルティ!」と言いながら入ってきて「え? マジですか?」と平良の顔が青ざめた場面もあった。ただ、これはコースアウトした平良を驚かせようとした加藤監督なりの冗談。それを知ったときの平良は、ほっと胸を撫で下ろしていた。 [オートスポーツweb 2024年12月07日]