佐藤琢磨、レッドブルF1昇格に足をかける角田裕毅にワクワク・ドキドキ。風土異なるチームでのドライバー評価に興味
レッドブルとホンダの育成プログラムを駆け上がり、RB(旧アルファタウリ)でF1での4年目を戦い終えた角田裕毅は、12月10日(火)にヤス・マリーナ・サーキットで実施されたポストシーズンテストにレッドブル・レーシングから参加。過去にドライバーズタイトルを8回、コンストラクターズタイトルを6回獲得してきたまぎれもないトップチームの最新マシンを初めてテストした。 【ギャラリー】アブダビ・ポストシーズンテスト/角田裕毅はレッドブルRB20をドライブ! 出身高校としても、日本人F1ドライバーとしても、そしてSRS(現HRS)卒業生としても先輩でもあり、ホンダ・レーシング(HRC)でエグゼクティブアドバイザーを務める佐藤琢磨は、今回の角田のテスト参加について、ワクワクとドキドキを持って受け止めていると語った。 佐藤エグゼクティブアドバイザー、そして多くのファンの気持ちを掻き立てるのは、今回のテストが単なる走行機会というわけではないということ。レッドブルは今季不振を極めたセルジオ・ペレスを含めたドライバーラインアップの再考を行なっており、姉妹チームに乗る角田も候補ドライバーのひとりなのだ。状況次第では、未だ達成されていない日本人グランプリウィナー、F1チャンピオン誕生の夢も近づくかもしれない。 佐藤エグゼクティブアドバイザーは、角田がトップチーム昇格に手が届きそうな位置にまで上り詰め、チャンピオンドライバーを輩出したマシンに乗ったことを受けて、今後に期待と不安が入り交じる気持ちだという。 「ワクワク、ドキドキ……不安もあり、みんなと同じ気持ちですよ」 佐藤エグゼクティブアドバイザーはそう語った。 「もちろん、HRCの人間なので多少は内部のことを聞きますが、最終的な決定権がチームにあるというのは事実です。ホンダとしてできるサポートはずっとやってきたつもりですが、本人のパフォーマンスというところが大きいですよね」 「そういう意味では、裕毅の速さは全く問題ありません。レースマネジメント、セルフマネジメント、アンガーマネジメントも含めて、彼自身が強いドライバーになっていく必要があります」 そして、RBがトロロッソと呼ばれた時代に同チームでF1テストを行なった経験がある佐藤エグゼクティブアドバイザーは、風土の異なるレッドブル・レーシングで角田がどのような反応を得たのかに興味があると続けた。 「レッドブルのエンジニアと直接作業をしたのは今回が初めてだと思います。その中で彼らがどういう反応をしたのかが僕も興味があります」 「例えば、(岩佐)歩夢がテストしたRBの反応は分かります。チーム自体が元々ミナルディから持っている温かさがありますが、レッドブルはありません。そういう意味ではかなり厳しいですが、だからこそチャンピオンチームなんだと思います」 「そこに入った時に裕毅がどういう風に受け入れてもらったのかというのはやはり気になります。本人は納得のテストだったというコメントを出していたので、それを信じるしかないですね」 ポストシーズンテストの前に開催された最終戦アブダビGPには、HRCの渡辺康治社長が現地を訪れ、土曜日にレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表と会合を行なったという。そしてその時点では、来季ラインアップは「本当か嘘かは知りませんが、現時点でハッキリと決まったことはないという話でした」とも明かした。 そして渡辺社長は、現時点で角田がレッドブル・レーシングとRBのどちらに乗るかは定かではないものの、どちらのチームでも結果を出してくれるはずだと期待を語った。 「結果は私には分からないので、それを待つことになります」と渡辺社長は言う。 「上手くいったらそれはいいでしょうし、少なくともRBで走ることは決まっているので、どのチームであってもしっかり活躍してくれることを期待しています」
滑川 寛, 田中 健一