最新の研究で判明!健康に気を配っていないのに「意外と健康な人」の特徴
会社や自宅のデスクでじっくりと仕事をした後は、ぜひとも身体を動かしたいものだが運動習慣には個人差がある。健康のための運動はしてないというのに案外健康な人がいるというのだが――。
健康意識が低いのに案外健康な人とは?
健康のために適度な運動はしたほうがよいのは明らかで、各種の研究からもそのことは繰り返し何度も実証されているのはご存知の通りだ。 低価格帯のスポーツジムの普及もあって、ますます運動が身近になっていることもあり、普段から運動を心がけているという人が以前より増えていたとしても不思議ではない。 健康意識が高まることは医療費の国庫負担削減の面からも望ましいことではあるが、その一方で健康意識は低いのに案外健康な人々がいることが最新の研究で報告されていて興味深い。健康のための運動は特にしてはいないのに、日常生活の中で実はけっこう身体を動かしている人々がいるのだ。 フィンランドのユヴァスキュラ大学をはじめとする研究チームが今年9月に「International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity」で発表した研究では、個人の性格特性と身体活動の関係を探り、それが長期的な健康に及ぼす影響を検証している。 デスクワークにしっかりと従事すれば自ずから座っている時間が長くなるが、座って過ごす時間が長いことは深刻な健康リスクと考えられている。 したがって仕事柄座って過ごす時間が長い者にとって、健康のためには中負荷から高負荷の身体活動が欠かせないのだが、当然だがどの程度運動するかは個々の判断である。そこには各個人の性格特性の影響もあるはずだ。 現在の心理学で最もよく受け入れられ、最も一般的に使用されている性格モデルである「ビッグファイブ」とは、性格特性において「開放性」、「誠実性」、「外向性」、「協調性」、「神経症的傾向」の5つの因子から性格特性を浮き彫りにする理論である。 研究チームはこのビッグファイブの5つの因子の組み合わせから、5つの性格プロファイルを特定した。その5つとは「回復力のある(resilient)」、「脆弱な(brittle)」、「過剰制御な(overcontrolled)」、「制御不足な(undercontrolled)」、「普通(ordinary)」である。ちなみに「回復力のある」者は誠実性と外向性の値が高く、「脆弱な」者は神経症的傾向の値が高い。 研究チームはフィンランドの性格と社会発達に関する縦断的研究の参加者の長期追跡データを利用し、33歳、42歳、50歳、61歳の時点の性格プロファイルと運動時間および座っている時間を参照してその関係を探った。 研究チームは各年代の各性格プロファイルにおける1時間当たりの座っている時間と運動している時間の割合を検証したのだが、「回復力のある」者は座っている時間も長いのだが身体活動の時間も長い傾向が明らかになった。つまり「回復力のある」者はデスクワークにじっくり取り組んでいる一方で運動にも時間をかけているのである。 そして「脆弱な」者はデスクワークをしていてもより短い間隔で席を立って動き回っている傾向も浮き彫りになった。つまり「脆弱な」者は当人の自覚があるなしに関わらず“うろちょろ”したり“ちょこまか”と動き回っているのである。そして結果的に運動時間が比較的長くなり、健康にプラスの効果をもたらしているのだ。 さらに面白いのは「回復力のある」者は自己評価による健康状態が最も高かったのだが、「脆弱な」者は自己評価による健康状態が最も低かったことだ。つまり「脆弱な」者は健康意識が低いにもかかわらず、身体を動かす時間が比較的長く、結果的に健康的な生活を送っているのである。