【インタビュー】部屋と孤独と写真と。アレック・ソスとの一問一答。|青野尚子の今週末見るべきアート
――ソスさんは写真についてのワークショップを開いているそうですが。 今年の夏も開催したんだけれど、アメリカと国外から半分ずつの参加者があった。このワークショップでは写真を撮るわけではなくて、僕の家に滞在してスタジオを見てもらったりした。もう何年もの間、いろいろなところでワークショップをやっているけれど、生活をともにすることが一番いい学びになると思う。
――展示の最後に「Advice for Young Artists」シリーズが登場しますが、ワークショップでは何かアドバイスをしたりするのですか。 何か特定のことについてアドバイスすることはあるけれど、全体的なアドバイスはしない。誰もが違う課題を抱えているし、『~~すべき』というのはあまり好きじゃないんだ。たとえばよく、『旅にはカメラを持参しなさい』というアドバイスがある。もちろんこれがあてはまる人も多いと思うけれど、僕はそういうタイプではない。僕は写真を撮るのに理由が必要で、プロジェクトを始めるときにはコンセプトを決めている。僕が彼らから学んだことの一つに『あなたは最終的にはあなた自身にならなくてはならない』ということがある。先人から教わることはたくさんあるけれど、誰にでも通用する方法論があるわけではなくて、結局は君は君ということなんだ。 *ポール・オースター アメリカの作家。全米から募った「普通」の人々のちょっと不思議な実話を集めた「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」などの著作がある。
『アレック・ソス 部屋についての部屋』
〈東京都写真美術館〉東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内。~2025年1月19日。月曜、年末年始(12月29日~1月1日)休(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)。※1月2日・3日は10時~18時。一般 800円ほか。TEL 03 3280 0099。
photo_Takuya Neda text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano