【新潟記念回顧】シンリョクカが復活の重賞初制覇 明暗分けた長い直線の攻防、11年ぶり牝馬Vを手繰り寄せた「勇気」と「勝負勘」
長い直線に助けられたセレシオン
2着セレシオンはスタートで遅れながら、離されずなんとか馬群に追いつき、勝負圏内にこだわった。序盤のリカバリーが2着という結果をたぐり寄せた。また、外に行かず、あえて馬群を縫ってきたのも好判断で、この夏、新潟で騎乗し続けた荻野極騎手の成果といえよう。 今回は新潟の長い直線に助けられ、末脚を余すことなく繰り出せたが、理想はスタートを出て、もう少し位置をとり、末脚勝負に持ち込みたい。新潟で3戦連続スタートの遅れをとったことが、この先につながらないといい。 3着キングズパレスはレッドラディエンスとの斤量差1.5キロを活かすべく、今回はあえて一歩前で競馬を運んだ。 対レッドラディエンスという意味では成功だったが、シンリョクカに予想外に粘られてしまい、そこで脚を使い切ってしまったか。位置をとるといい脚がゴールまで続かないところもあるものの、いずれにしても力は重賞でも通用するだけにもどかしい。 逃げたアリスヴェリテはもう少し強気に出てよかったのではないか。新潟の長い直線を意識しすぎたか、結果的にはペースを抑え、後半600m勝負の舞台にしてしまった。内回りほど飛ばせないかもしれないが、もう少し後続の末脚を削りにいかないと厳しいだろう。 勝ったシンリョクカ、2着セレシオンは新潟の長い直線を活かし、キングズパレスやレッドラディエンス、アリスヴェリテはそれを意識して敗れた。658.7mの直線には物語がある。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳