微生物が電気をつくる「燃料電池」その実力と可能性とは?
電流生成菌の可能性は、発電だけにとどまらない。今は、微生物が有機物を分解する際に電子を取り出しているが、逆に電子を流し込むことで有機物を合成できないか、と渡邉教授は考えている。「たとえば、電子を与えることで二酸化炭素から有機物を合成するなど、今後は、微生物による電気合成の可能性も探索したいと考えています」。光合成ならぬ、電気合成というわけだ。 ところで、土の中には、シュワネラなど今わかっている微生物以外にも、多くの電流生成菌がいるという。実際、渡邉教授は水をはった田んぼの土の中に負極を、水中に正極を入れた「田んぼ発電」の実験を行い、新種の電流生成菌を見つけている。学生実習でも、学生に様々なところから土を採取させて発電するかどうか確認させるが、まずまちがいなく発電するという。 「今、見つかっている微生物はほんの一部で、有用な微生物はまだまだたくさんいるはずです。電流生成菌はその一例ですが、他にも有用な微生物が見つかれば面白いですね」 (取材・文:具志堅浩二)