なぜBIGBOSS新庄の奇想天外な継投策がソフトバンクを苦しめたのか…逆転満塁弾でジ・エンドも予告先発の堀まで投入
4番手に指名されたのは、ルーキーイヤーだった昨シーズンに10勝をあげた伊藤。プロでは初めて中継ぎ登板した右腕に、阪神、ダイエー(現ソフトバンク)、ヤクルトでプレーし、パ・リーグの野球に精通する評論家の池田親興氏は「新庄監督らしいといえば新庄監督らしい。まったく想像のつかない投手継投だった」とゲームを振り返った。 「北山の開幕投手を発表した段階で、彼はあくまでもオープナーで、ロングを任すであろう2番手、3番手の投手がポイントだと思っていた。ローテーの加藤を2番手に持ってきたところで彼にロングを投げさせると思ったが、たった1イニングで下げ、4番手に上沢とともにチームの柱である伊藤を持ってきたのには驚いた。彼が投げた5、6回の2イニングが非常に効果的で、ソフトバンクの反撃ムードを沈静化させてしまった」 報道によれば、新指揮官同士の戦いを制したソフトバンクの藤本博史監督(58)も「誰が出てくるかわからないので、接戦で初回から野球をやっているような状態。その意味では野手も大変だった」と試合後に打線を慮ったという。 しかも、7回になると混乱にさらに拍車がかかる。 5番手としてマウンドに上がった左腕・堀は26日の予告先発がすでに発表されていたからだ。前出の池田氏は昨シーズンのリーグ最優秀中継ぎ投手の堀から杉浦、西村と計7人のリレーによる“奇襲”をこう総括した。 「1打席ごとにコロコロとタイプの違う投手が出てくることで、目先が変わり、やはり打者は戸惑う。前の打席とのつながりなどを作れないことも大きいだろう。しかも中盤にエース級のボールを見せられば対応に苦労する。さらに予告先発をした堀まで投げさせたのだから、まったく次のゲームプランが読めなくなった。杉浦だけが誤算で、ガルビスに逆転満塁弾を打たれた西村のスプリットも決して悪いボールではなかった。杉浦を除くとすべて新庄監督のプラン通りにゲームが運んだのではないか」 池田氏の指摘通りに、キャンプ中に負った左太もも裏の肉離れで出遅れた昨シーズンのクローザー、杉浦の乱調がプランを狂わせた。フォークが捕手のはるか手前でバウンドすること3度。2安打に四球で一死満塁として西村との交代を告げられた。 オープン戦で5試合、計6イニングを無失点に封じ、打者21人から13個の三振を奪った北山が、杉浦に代わる新守護神候補と見られていた。 しかし、報道によれば、ソフトバンクのエース千賀滉大(29)に対する先発に指名した北山だけでなく、堀を含めた2番手以降のリレーのすべてが事前にコーチ陣と決めた通りであり、ただ一人、西村だけはBIGBOSSの判断で急きょ登板させたという。 「結果論であって、抑えたらナイスピッチングだし、打たれたら次また、さあ、やったるっていう気持ちになればいい」 ガルビスに痛打された西村の奮起を期待したBIGBOSSの2戦目以降の采配に対して、池田氏は「何をしてくるか想像がつかない」とこう続ける。