批判の声強まる森保ジャパンは敵地のオマーン戦で汚名返上ができるのか?
森保ジャパンの新たな武器となりつつある[4-3-3]をポジティブに受け止めた柴崎は、ゴールが決まる可能性がまったくと言っていいほど漂ってこない、セットプレーのキッカーを託される意味でもオマーン戦の先発に復帰するだろう。 そして、柴崎がその優しい性格に言及した森保監督は、同時に“超”がつくほどの頑固者でもある。サンフレッチェ広島の監督時代から先発を固定する傾向が強く、選手が積み重ねてきた実績とチーム内における序列を重視する信念を貫き通す。 先発を代えるのは負傷による欠場や出場停止か、あるいはオーストラリア戦のようによほどの非常事態に直面したときとなる。同じ図式が精彩を欠く状態が続き、ファン・サポーターの批判が集中している大迫と長友にもおそらく当てはまる。 大迫はベトナム戦の決勝点になったMF伊東純也(28・ヘンク)のゴールを、巧みなポストプレーで導いた。しかし、故障から復帰して間もない状態もあってボールを背負えないシーンが多く、敵陣で相手チームの守備陣の脅威にもなりえなかった。結果として古橋亨梧(26・セルティック)への待望論が、ますます高まる状況を生み出している。 オーバーラップした背後のスペースを狙われる場面が多かった長友は、ベトナム戦ではやや自重するプレーに終始した。左サイドからの攻撃がなかなか機能しない展開に、さすがに森保監督も問題ありと判断したのか。後半18分に最初の交代カードとして、左ウイングの南野拓実(26・リバプール)とともにベンチへ下がった。 代わりに投入された東京五輪世代の中山雄太(24・ズヴォレ)は、徐々に左サイドバックとしてのプレー時間を増やしている。しかし、何度でも石橋を叩いて渡る慎重派、もっと言えば冒険を好まない森保監督はまず動かないと言っていい。 先発メンバーの固定化は、そのままオマーンが[4-3-3]システムへの対策を練りやすい状況を生み出す。9月は大迫を徹底的に潰されて攻撃を封じられた。苦い記憶が蘇り、返り討ちにあう確率が上がり、ファン・サポーターの不満や怒りが高まっても、主力選手がそれぞれ思い描く“絵”を一致させる作業が優先されていく。 5連敗でグループBの最下位にあえぐベトナムから、最少得点しか奪えなかった辛勝を介して、森保監督の選手起用や采配に対する批判はさらに高まった。4位に終わった東京五輪から続く閉塞感を振り払えず、頑なに己を貫いた末に再びオマーンに敗れる事態を招いてしまえば、批判はこれまでで最大級の解任論へと変わる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)