老人ホームの入居費用はいくら必要？（デザイン：松田愛乃）

　今すぐではないけれど、将来のために知っておきたい「老人ホーム」の費用。しかし、老人ホームはさまざまな種類があり、料金体系も複雑です。いざ選ぼうと思っても、なかなか難しいでしょう。 　この記事では、押さえておきたい老人ホームの費用についてご紹介します。施設別の費用や、貯蓄しておきたい金額、年金でまかなえるのかも解説しますので、ぜひ参考にしてください。

1.老人ホームの平均料金

　老人ホームの費用には、初期費用である「入居一時金」と、毎月かかる「月額利用料」に大きく分けられます。 　老人ホームにかかる費用は、千差万別です。安い場合は、入居一時金0円、月額利用料5万円程度ですが、高価格な老人ホームでは、入居一時金が1億円以上かかったり、月額利用料が50万円以上かかったりする場合もあります。 　ここでは、老人ホームにかかる費用の種類と料金について詳しく見ていきます。 （1）入居一時金 　入居一時金とは、有料老人ホームやグループホームなどへ入居するための初期費用のことです。入居金、前払い金とも呼ばれています。施設によって金額は大きく異なり、数千万円、1億円を超える施設も存在します。 　入居一時金の意味合いは施設により違いますが、「家賃の前払い」としている施設が多いでしょう。入居時の年齢で金額を分けていたり、「入居一時金プラン」「入居一時金なしプラン」など、料金プランを複数設定していたりする施設などさまざまです。 　また、特別養護老人ホームなど、もともと入居一時金がない施設もあります。 （2）月額利用料 　月額利用料は、毎月老人ホームに支払う費用のことです。料金は5万～数十万円とさまざまですが、平均的に見ると13万～15万円程度必要な場合が多い傾向にあります。 　月額利用料の内訳は、主に「居住費」「食費」「日常生活費」「管理費」「介護費」です。そのほか、手厚い人員配置をしている施設は「上乗せ介護費」を設定している場合もあります。 【老人ホームの月額利用料の内訳】 ●居住費 　家賃に当たる費用で、部屋の広さ、方角などで異なります。同じ施設でも、金額の差が数万円以上の場合もあります ●食費 　食材費、厨房（ちゅうぼう）維持費などに当たる費用で、ほとんどの施設が実際の食数を請求します ●日常生活費 　日用品や嗜好品（しこうひん）などにかかる費用です。石鹸（せっけん）、シャンプー、お菓子などが該当します。また、理容美容代やレクリエーションの費用などが含まれることもあります ●管理費 　ホーム・施設の共用部分の維持のための費用です。どのような項目を管理費として徴収するのかは施設によって異なります ●施設介護サービス費 　介護サービスにかかる費用です。要介護度（要支援1、2、要介護1～5）、介護保険負担割合（1、2、3割）やサービス内容によって変動します ●上乗せ介護費 　施設が職員配置基準以上の職員を配置している場合にかかる費用です。基準は利用者3人に対して介護・看護スタッフは1人（3：1）ですが、手厚いサービスを提供するために2：1や1.5：1の配属をしている施設があります。そのような施設ではこの上乗せ介護費がかかる場合があります ●医療費 　往診や薬の処方などにかかる費用です。直接医療機関に支払う場合もあります 　ほかにも、要介護認定を受けていない、いわゆる「自立」に該当する人に対して「自立支援費」を設定しているところもあります。 　同じ老人ホームでもサービス内容や要介護度、所得などによって料金は大きく異なります。公的施設に比べて民間施設の料金体系は複雑なので、選択する際は慎重に検討しましょう。