老人ホームの費用と種類を紹介 貯蓄しておきたい金額や損をしないポイント
3.老人ホームでいくらかかるかシミュレーション
ここまで読んで、老人ホームに入居するには「結局いくらかかるの?」と感じた人も多いのではないでしょうか。かかる費用は老人ホームの種類やサービス内容によって差があるため、一概にはいえませんが、ここでは二つのケースをご紹介します。 (1)介護付き有料老人ホームに入居した場合の費用シミュレーション 東京都在住の男性(81歳)が、81歳から86歳までの5年間「介護付き有料老人ホーム」に要介護度3で入居した場合のシミュレーションをしてみましょう。 トータルでかかる費用は「入居一時金 + 月額 × 入居期間(月数)」です。引っ越し費用や予備費は含めていないのでご注意ください。 入居一時金:900万円 月額利用料:30万円(介護費、医療費などを含む) 900万円 + 30万円× 12カ月 × 5年 = 2,700万円 この場合は、5年間で2,700万円が必要という結果になりました。 (2)特別養護老人ホームに入居した場合のシミュレーション 大阪府在住の女性が85歳から90歳までの5年間「特別養護老人ホーム」に要介護4で入居した場合のシミュレーションをしてみましょう。 入居一時金:0円 月額利用料:11万円(介護費、医療費などを含む) 0円 + 11万円× 12カ月 × 5年間 = 660万円 この場合は、5年間で660万円が必要という結果になりました。介護付き有料老人ホームの場合と比べると、2,000万円以上の差があることになります。 (3)老人ホームに入居するにはいくら貯蓄しておく必要がある? 老人ホームの入居を考えている場合、100歳まで生きることを想定して、以下の費用を用意しておく必要があります。 入居金 + 月額 × 12 ×(100 - 入居時の年齢) たとえば、「(2)特別養護老人ホームに入居した場合のシミュレーション」の費用を参考に、85歳から入居したいと考えている場合は以下のような計算になります。 0円 + 11万円× 12カ月 ×(100 - 85) = 1,980万円 想定外のトラブルやまとまった出費が必要な場合を考えて、予備費を準備しておきましょう。 (4)老人ホームの費用は年金でまかなえる? 老人ホームの費用は、基本的には老人ホームに入居する人の年金や貯蓄から支払うのが一般的です。では実際、年金だけでも老人ホームに入居することは可能なのでしょうか。 令和4年の厚生年金・国民年金の平均受給額を参考に考えてみましょう。 ●厚生年金 男性 16万3,875円 女性 10万4,878円 ●国民年金 男性 5万8,798円 女性 5万4,426円 参照:令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 p.26,p.27|厚生労働省 入居一時金も加味すると、一部の公的施設を除き、老人ホームの費用を全額年金でまかなうのは難しいでしょう。年金がいくら給付されるのかを把握したうえで、余裕を持った資金を用意しておくことが大切です。