老人ホームの費用と種類を紹介 貯蓄しておきたい金額や損をしないポイント
4.老人ホームの費用を安く抑える五つの方法
老人ホームの費用を知って、高額だから払えそうもない……と不安に感じる人もいるのではないでしょうか。ここからは、老人ホームの費用をできるだけ安く抑える五つの方法を紹介します。 ●費用負担を軽減する制度を活用する ●公的施設を利用する ●人気エリアを外す ●入居時期を少しでも遅らせる ●金額だけを見ない それぞれ詳しく見ていきましょう。 (1)費用負担軽減する制度を活用する 介護保険施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設など)に入居した場合、食費と居住費(滞在費)は原則として全額自己負担です。しかし、所得や資産などが一定以下の場合、食費・居住費については負担軽減制度があります。 ①特定入所者介護サービス費とは 特定入所者介護サービス費とは、介護保険施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設など)に入所する人の所得や資産などが一定以下の場合、月額利用料のうちの食費・居住費が介護保険料から支給される制度です。 対象者は、以下のうち、第1段階から第3段階に該当する人です(参照:サービスにかかる利用料|厚生労働省。※は非課税年金を含みます)。 ●第1段階 ・生活保護を受給している人など 預貯金額の要件なし ・世帯全員が市町村民税非課税で、老齢福祉年金受給者 預貯金額1,000万円(夫婦の場合2,000万円) ●第2段階 世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金年収入額(※)+ その他の合計所得金額が80万円以下 預貯金額650万円(夫婦の場合1,650万円) ●第3段階① 世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金年収入額(※)+ その他の合計所得金額が80万円超~120万円以下 預貯金額550万円(夫婦の場合1,550万円) ●第3段階② 世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金年収入額(※)+ その他の合計所得金額が120万円超 預貯金額500万円(夫婦の場合1,500万円) ●第4段階(対象外) 市区町村民税課税世帯 特定入所者介護サービス費を利用するには、自治体に申請のうえ「負担限度額認定」を受ける必要があります。制度を利用するときには、お住まいの市区町村に確認しましょう。 ②高額介護サービス費 高額介護サービス費とは、 1カ月に支払った利用者負担の合計が負担限度額を超えたときは、 超えた分が払い戻される制度です。一般的な所得の方の負担限度額は月額4万4,400円です。 ●第1段階 生活保護を受給している人など 負担の上限額(月額) 個人1万5,000円 ●第2段階 市町村民税世帯非課税で公的年金などの収入金額 + その他の合計所得金額の合計が80万円以下 負担の上限額(月額) 世帯2万4,600円、個人1万5,000円 ●第3段階 市町村民税世帯非課税で第1段階及び第2段階に該当しない方 負担の上限額(月額) 世帯2万4,600円 ●第4段階 ①市区町村民税課税世帯~課税所得380万円(年収約770万円)未満 負担の上限額 世帯4万4,400円 ②課税所得380万円(年収約770万円)~690万円(年収約1,160万円)未満 負担の上限額 世帯9万3,000円 ③課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 負担の上限額 世帯14万100円 (参照:サービスにかかる利用料|厚生労働省) ③高額介護合算療養費制度 高額介護合算療養費制度とは、1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担額が高額だった場合、自己負担額を減らせる制度です。 毎年8月から翌年7月末に支払った各保険の自己負担額の合計が基準額を超えた場合、確定申告をすることによって超えた額が支給されます。 なお、負担上限額は世帯の年収によって異なります。 (2)公的施設を利用する シミュレーションでも提示したように、一般的には公的施設の方がかかる費用は安くなります。入居条件に当てはまっていれば、公的施設を選ぶのも有力な選択肢となるでしょう。 注意したいのは、待機期間です。老人ホームに空きがあれば、すぐにでも入居は可能ですが、空きがなければ待機します。費用が抑えられる特別養護老人ホームは多くの待機者がいるため、すぐに入居するのは難しいでしょう。 一方、高価格な老人ホームは空きがあることが多いため、入居したいと考えてから短期間で入居できる場合が多い傾向にあります。 (3)人気エリアを外す 人気エリアを外した施設を選ぶことで、居住費が抑えられる場合があります。老人ホームを選ぶ段階で、希望のエリア内で予算内のところがない場合は、少しずつエリアを広げて探しましょう。 (4)入居時期を少しでも遅くする 老人ホームに入居する時期を遅らせることで、節約につながります。入居を希望する時期は、「元気なとき」「軽度の介護状態のとき」「できるだけ自宅で」など人それぞれですが、経済的に無理がないかを確認しましょう。 (5)金額だけを見ない 経済的にゆとりがあると、選択肢が増えるぶん、どの介護保険施設に入所しようか迷ってしまう人も多いでしょう。このようなときに注意したいのが、高ければよいわけではない点です。 老人ホームの料金には立地や設備が反映されることが多いため、高価格帯だからといって、質のよい介護サービスが受けられるとは限りません。 コストパフォーマンスに配慮し、納得した老人ホームを選ぶためには、元気なときに実際に足を運び、自分の目で確認することが大切です。