100万人近くが集まる佐賀の「バルーンフェスタ」!知られざる大イベントを久住昌之が見に行ったら、とにかくヤキモキして…
◆中止の可能性 広い河川敷が見えると、気球は2機ぐらいしか膨らんでいない。ワンボックスカーが、番号の書かれたスペースにポツリポツリ停まっている。どうやら気球はその中に、まだ畳んでしまってあるようだ。 会場にはずっとアナウンスと解説が流れていて、それをよーく聞いていると、どうやら午後の大会は、風のため中止になったようだ。 わずか風速4メートル以上で中止だそう。昨日も一昨日も、午後は中止だったらしい。ボクと反対に、駅に向かっている人も多く、帰るようだ。今日はもう、見物を諦めたということだろうか。想像するしかない。不安になるが、頼れるものがない。 だが長大な土手の斜面に着くと、大群衆がシートを敷いて腰をおろしている。すごい。何万人いるだろう。こんな広範囲の群衆を生で見たことがないかもしれない。これは確かに大イベントだ。なぜこんなイベントが東京で知られていないのか。 このあと日が暮れてから、夜間係留イベント「ラ・モンゴルフィエ・ノクチューン」が予定されている。ロックバンドの生演奏に合わせ、地上で膨らませたバルーン群を一斉にバーナーでライトアップさせるらしい。 大変美しいと佐賀の人から聞いている。それを見ようという大観衆は残っているのだろうか。わからないがやるなら見たい。 ところが、バルーンの夜間係留も風が強かったら中止で、バーナーの炎だけのイベントになるかもしれません、とアナウンスが言っている。 バーナーの炎だけのイベント? えー、気球が膨らまないなら、そんなの見ないで宿に帰りたい。と思った。明日最終日の朝、もう一度チャンスはある。 その時点で、やるかやらないかわからない夜間係留イベントまでに、2時間以上あった。
◆気球が膨らみ始める どうしようか。寒くなってきた。でも何万人か、まだ残っている。やりそうなのか? 状況を知るすべがない。観客は何を頼りに行動してる? 経験か。 小腹も減ってきたので、とりあえず河川敷の土手から、めちゃくちゃに混んでる屋台村に戻り、ソース焼きそばを買い食いした。肌寒い屋外で食べるあったかい焼きそばは、たまらなくウマイ。 日が暮れてきたが、しゃべり続けの男女DJは、イベントをやるのかやらないのかちっとも言わない。なんなんだよお前らその馴れ合いの雑談は。 今の状況説明がいつまでもないままにゲラゲラ笑ってたりするのでだんだん腹が立ってくる。ヤキモキするうちに、空が素晴らしい夕焼け空になってきた。 すると、一機、また一機と、予告なく地上で膨らんでいく気球がある。カラフルな気球に、夕日が当たって美しい。何しろ気球はひとつひとつが大きいので、膨らんでいくと存在感もすごい。 そのうちハイエースがどこからともなく一台一台とやってきて、畳まれた気球を地面に広げ始めた。 お、やるのか。風、大丈夫そうなのか。なにもわからないが、とにかく、気球を上げそうなチームが三々五々、動き始めた。横に倒れた形で、気球があちこちで膨らみ始めた。ボクの期待もゆるゆると膨らんだ。 だがなにしろ、大観衆が「おおーっ」とかどよめく瞬間が全然ない。静かにダラダラした進行(?)なので、ことの成り行きを見守るしかない。