100万人近くが集まる佐賀の「バルーンフェスタ」!知られざる大イベントを久住昌之が見に行ったら、とにかくヤキモキして…
漫画・ドラマともに大人気の『孤独のグルメ』の原作者として知られ、日本中を飛び回る久住昌之さん。そんな久住さんがどっぷりハマり、足掛け6年以上通っているのが<佐賀県>です。そこで今回は、久住さんの著書『新・佐賀漫遊記』から、久住さん流・佐賀県の楽しみ方を一部抜粋してご紹介します。 【写真】佐賀バルーンミュージアムのフライトシミュレーターを体験する久住さん * * * * * * * ◆ボクにとっての前夜祭、夜間係留イベント 佐賀のイベントで一番大きなものは「佐賀バルーンフェスタ」だろう。 佐賀に通っていると、いろんなお店にそのポスターが貼ってあることに気づく。新しいのや古いのが混じって貼られている。 佐賀市のメインストリートには「佐賀バルーンミュージアム」もある。 聞かずとも、調べずとも、否応なくその存在の大きさが身に入ってくる。 正式には「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」。熱気球の競技会としては、日本のみならず、アジア最大の大会だという。十数ヶ国から来る外国人チームを含め、70~80機の気球が参加。すでに35年の歴史があり、毎年70万人から100万人もの観客が集まる。 そんな大きなイベントなのに、ボクは佐賀に来るまでそんなフェスタ、ちーとも知らなかった。 いや、日本のどっかで熱気球の大会みたいなのがあるらしいことはぼんやり知っていたが、年に1回佐賀で国際大会、というのは考えも及ばなかった。 そんな大きなお祭りが、ほとんど知られてない佐賀。 いつか絶対見なくては、と思っていたら、なんとバルーンフェスタの最中に、北九州でトーク&ライヴの仕事が入った。 このチャンスに行かない手はない。
◆会場へ向かう 北九州市の2ヶ所でライヴをやった翌日、小倉で別の仕事を1本済ませ、特急みどりで佐賀に向かう。 フェスタは全部で4日間。それぞれ午前の部と午後の部がある。ボクは3日目の3時からの午後の部になんとか間に合いそうだった。 翌日の午前もあるが、何しろ気球なので、天候が悪かったら中止。チャンスは逃せない。 期間中は、JR長崎本線で佐賀駅から二つめに臨時駅「バルーンさが駅」が開設される。会場が近づくにつれ、家族連れ、若者グループ、県外からの観光客で超満員に。 バルーンさが駅到着は、結局3時を少し過ぎていたので、もう飛んでいるかなあと思いながら駅を降りたが、見回しても空には気球が1機も見えない。まだなのか。だけど群集は黙々と会場に向かっている。 会場は駅からすぐの嘉瀬川(かせがわ)の広大な河川敷だった。駅を出るともう屋台がたくさん出ている。でも会場全体の地図は見当たらない。群衆の流れのまま土手の上を歩いていくしかない。 今にして思うと、この説明の足りなさ、不親切さは、佐賀特有だ。 今なら「出たよ、佐賀の説明不足」と笑って言えるが、この時は何もわからず不安で、「どうすればいいんだろう? とりあえず、みんなについていくしかないな」という感じだった。