結局、勝てばそれがベストな戦術、戦略に――前代表監督・西野朗、「ポイチ」への期待
―2大会連続でベスト16という結果は出ている。スタイルは必要なんでしょうか。単に結果を求めるだけでも良いのではと思ったりも……。 「『決勝トーナメントからがW杯』と思っているような強豪国はやっぱり伝統のスタイルみたいなのがありますよね。別の形で戦うこともあるけど、期待する「形」はある。一方で、したたかに戦うクロアチアみたいなチームもある。いつもクロアチアを見て、え?どこが強いんだろうと思うけれど(笑)。現場で試合をみると1人1人がすごいタフだし、ファイトするし本当に技術は高いし、メンタリティ強いし。でも日本は対応力があったり、後半から出して状況を変えてくれる選手もいるし、ボール技術的にもすごく高いと思う。いろんなスタイルの選手がいて、三苫薫なんて、あんなフェイント見ないでしょ?だから、ポゼッションありきでもないし、カウンターだけでもない、とは思うんですよ。ポイチも“ボール保持はしてどこかでスイッチ入れて攻撃”というのを理想としているけれど、結局、勝てばそれがベストな戦術、戦略となる。カウンターしてて信じらんないようなトラップで得点が決まる(浅野拓磨のドイツ戦での得点を指す)ようなこともあるんです。ドイツ、スペインに勝った、トップ通過したっていう今までと“違う景色”はもちろん見させてもらったんだけども、もっともっと欲を出していかなきゃいけないし。選手もそれは絶対わかっていますよ」
ライセンスは返納してないです
―西野さんご自身のチャレンジは?監督業へのこだわりは? 「(監督)ライセンスは返納してないです(笑)。現場がいいですね。そういう(監督の)話もあるんだけども、やっぱり自分のやりがいがありそうなところが見つかればね。(2019年に監督就任した)タイ(代表)も滑り出しはよかったんだけど、これからってところで(コロナ禍で)活動停止になっちゃって。半ばで終わっちゃったんで」 ―西野さんが監督してるところを見られる? 「この歳じゃあんまりないんじゃないですか(苦笑)。まあ古いっちゃ古いんですよね、感覚がね。指導観をリニューアルしないと。若い選手とのちょっと違う感覚というか、ロシアの時もかなり感じたし、ずっとJリーグで(監督を)やってた中でも多少感じていたものがある。色んな意味で(過去とは違う)変わったアプローチをしていかなきゃいけない世界かなと思います。だから、やめられないですよね。そういう次の楽しさというかね」