結局、勝てばそれがベストな戦術、戦略に――前代表監督・西野朗、「ポイチ」への期待
森保ジャパンの原点はロシア大会に
クロアチア戦の前に戦ったグループリーグは、一位通過したものの簡単な戦いではなかった。初戦のドイツ戦と第3戦のスペイン戦は相手に主導権を握られ、攻め込まれ、森保一監督も思い切った戦術を取らざるを得なかった。ドイツ戦では4バックでスタートし、それまで短時間しか試してこなかった3バックに後半開始とともに変更した。負ければ敗退の可能性もあったスペイン戦では最初から3バックを採用。その発想のスタート地点は、森保が西野の下で代表コーチを務めたロシア大会にあるのではと、西野は言う。 「カタールW杯にかなり近い時期、準備の最終段階になってあいつと何回か会って話をしたんですよね。『3バックも選択肢にあるだろ?』『リスタートも1点も取れてないけど色々あるんですよ』なんて話をしていて。その中でロシア大会を振り返っているときに『ニシさん、ベルギー戦の最後5バックに切り替えたら良かったかもしれませんね、あの時言えずすいません』って言うから、『いや謝ることじゃないよ』って」
―森保監督はなぜそう言ったのですか? 「ロシアは3か月しか準備期間がなくて、親善試合も3試合しかなかった。当時、代表といえば4バックだったけど、最初の親善試合のガーナ戦で3バックを試したんですよね。長友佑都を高い位置でプレーさせたり、本田圭佑をちょっと下がらせたり、ターンオーバーしたりもした。それを知っているからポイチ(森保)は『(センターバックの)植田直通入れたら対応できたかもしれないですね』って。おれも5バックはちらついたけど、試合中にあいつはそこまで気づいてたんだよね」 ―その記憶がドイツ戦、スペイン戦につながった。 「だからドイツでいきなりハーフタイムにシステムを切り替えた。前半やり込められたから何か当然手を打つだろうと思ってはいたけれど、後半頭から思い切った。でもそれが拮抗した0-1だったらまた違う判断だったと思う。スペイン戦もそうだったけど、全く前半は歯が立たなかったじゃないですか。あそこまでやられると博打的な、一気に選手を3枚替えするとか、システム変更するとかしない限り打開できない。ポイチは原点はそこ(ロシア大会ベルギー戦の敗戦)にあるっていうことをチーム立ち上げの時から言ってて、思い切った采配につながっているんだよね」