結局、勝てばそれがベストな戦術、戦略に――前代表監督・西野朗、「ポイチ」への期待
対応力のある柔軟性とかなにかアイディアが、ベスト8まであと一歩
―コーチ時代の記憶とか反省に今回の経験が加わり、森保監督続投と。 「そう、そこですよ。初めてでしょ、W杯2大会連続日本人の監督が続投するのも、その前にコーチとしてW杯に参加するのも。あと今大会は、選手がすごかったと思いますよ。この4年間、ほんとチャレンジしに海外に行ったよね。それも、チャレンジするだけじゃなくて成長曲線がすごい。レアルマドリードだ、アーセナルだっていうところに行くだけじゃなくて、出られなかったら出られるところに移籍したり。今はドイツブンデスリーガが多くて、確かに欧州のトップオブトップじゃないけど、ちゃんとレギュラーを取っている」 ―高校卒業後すぐに海外に行く選手も出てきていますね。 「育成世代もW杯から刺激受けて、”road to代表”じゃないけどやっぱどうしたらいけるかを考えてますよね。段階を踏んでJリーグに入っても一番大事な18歳19歳ではなかなか試合に出られない。僕も技術委員長時代に若手の出場機会を増やすためにU-21リーグ設立を考えたが、実現できなかった。そういうこともあって高校選手権で活躍してボルシアMG(ドイツ)に行っちゃう選手(福田師王)が出てきたりはしますよね」
―選手のチャレンジと成長、森保監督ら指導者たちの経験の蓄積の先にW杯ベスト8は見えてくる? 「今回はドイツ、スペインに対しても堂々と果敢に対抗した。森保も大会前に岡田(武史)が何を言おうが俺が何を言おうが、動じないというか行ける感じを出してくれていて、自分でも行けると思えていたんですよね。でも結局ベスト8には上がれなかった。試合を見てみると選手たちのいろいろな力は引き出していた。ただ当初目指したチームスタイルであるハイプレス、ショートカウンターは、中々通用しなかった。ポイチがもともと持っている堅守がベースになっていて、自陣で奪ってカウンターで入って行かざるを得なかったけれど、その中で選手が生きていた」 「4年前はある程度敵陣でも戦えてプレスと攻撃的なポゼッションもできた。もちろん対戦相手も違うし、ディフェンスにタレントがいるという今回のチームの特徴もある。だからポイチは合理的にスピードを生かしたカウンターを選択したけれど、さらにいろんな変化や対応力のある代表チームが必要になると思います。対応力のある柔軟性とかなにかアイディアが、ベスト8まであと一歩なんでしょうね」