日本独自の規格の軽自動車 「3395×1475」にあらゆる車種がそろう小宇宙
統計を見ると、国内販売される新車はすでに40%が軽自動車になっており、遠からず50%を超えそうな勢いだ。将来的にこれが60%を突破するという見方もある。クルマ好きを自任する人の中では軽自動車に興味を持つ人は少ないかも知れないが、冒頭の統計値に明らかなように、軽自動車を抜きで日本の自動車産業を考えることはもはや難しい。また一方で、全長3395ミリメートル、全幅1475ミリメートルという枠組みの中で、知恵の限りを尽くしてテクノロジーの戦いをするという角度から見れば、極めてマニアックで面白い世界でもある。今週は日本独自のマイクロカーである軽自動車について考えてみたい。
ハッチバックからミニバン、ワンボックスまで
軽自動車をひとことでいうと、それは自動車の小宇宙だ。軽自動車という枠組みの中に、普通乗用車同様、ありとあらゆるタイプのクルマがラインナップされている。アルトやミラやN-ONEのようなハッチバックがあり、ワゴンRやムーブやN-WGNのようなワゴンがあり、スペーシアやタントやN-BOXのようなミニバンがあり、エブリィやアトレーやバモスのようなワンボックスもある。SUVのハスラーや、世界的に高評価を受けている本格クロカン4WDのジムニーがあり、オープンスポーツのコペンがあり、トラックやバンはもちろんダンプまである。それはトミカのミニカーのごとく、小さいサイズで全てが揃った小宇宙なのだ。 もちろん法律上定められた4人という定員があるから7人乗りは無理だし、スペース効率的に利得の得られないトランク付きの3ボックスセダンもないが、与えられた枠組みの中で可能なものをどこまでも実現して見せるその選択肢の多彩さは日本が世界に誇る独自の文化となっている。 普通自動車とほぼ同様のバリエーションを揃えながら、普通自動車では考えられないことがひとつある。全てのクルマが、全長3395ミリメートル、全幅1475ミリメートルぴったり同じ寸法を持つことである。例外はほぼ無い。考えてもみて欲しい、ハッチバックとワンボックスとクロカンとスポーツカーが全部揃って同じ寸法なのだ。ミニカーの世界で言えば、タンクローリーもスポーツカーもスケール比と関係なくほぼ同じ仕上がり寸法で作られているトミカとここでも奇しくも同じなのだ。