EVの加速性能は危ない? ガソリン車から乗り換えるときの安全性に疑問
クルマ好きも戸惑う速さ
平日はアウディS6、週末はトヨタGRスープラに乗っているというフィリップ・トーマスさんは、まさに典型的なクルマ好きと言えるだろう。 【写真】えっ、コンパクトSUVなのに400馬力超?!【スマート#1ブラバスを写真で見る】 (12枚) 少なくとも、IT専門家であるトーマスさんが最近、3台目のクルマとしてスマート#1を迎え入れるまでは、近所の人たちもそう思っていたはずだ。 えっ? と驚く人もいるかもしれないが、普通の#1ではない。標準モデルの最高出力はゴルフGTIを上回る272psだが、トーマスさんが選んだのは428psのブラバス仕様だ。これはアウディS6とほぼ同等のパワーである。 しかし、S6がパフォーマンスを重視した低重心のセダンであるのに対し、スマート#1ブラバスはコンパクトSUVである。フロントに電気モーターが追加されていることを除けば、タイヤやサスペンションに至るまで標準モデルとほとんど同じだ。 「ブラバス仕様は確かに速いが、エレガントとは言えない」と、このモデルを試乗したAUTOCARの記者はコメントしている。 トーマスさんは、#1ブラバスの性能を「暴力的」と表現している。「アウディやトヨタではツインターボの回転とパワーの立ち上がりが感じられますが、ブラバスでは一瞬ですよ」 「注意していないと、あっという間に130km/hに達してしまいます。エンジン音が大きくならないのも要因ですね。とても速いのですが、(前後の)モーター間で動力を配分しているため、システムがせわしなく動いているのが感じられます。一方で、わたしのS6は安定しているように感じられます」 「高齢の母が、以前のスコダ・ファビアから、272psのスマート#1に乗り換えるなんて想像もできませんでした」 しかし、EVに乗り換えるドライバーの多くが、まさにそのような移行を経験しているのだ。 全員がすぐに最高出力428psのEVに乗り換えるわけではないが、ホットハッチを楽々と追い越せるクルマに乗り換える、あるいはアップグレードする人は多い。 ショールームに並ぶ新車EVのうち、0-100km/h加速に10秒以上かかるのは、フォルクスワーゲンのID.5プロ(最高出力174ps)など、ほんの一握りである。