高額がん治療薬「オプジーボ」が半額に 薬価はどう決まる?
新型がん治療薬「オプジーボ」の薬価が半額になる――。こんなニュースが先月、衝撃を持って伝えられました。オプジーボは画期的な新薬である一方、非常に高額でもあり、厳しい医療保険財政を背景に「国を滅ぼしかねない」とまで憂える報道もありました。いったいどんな薬で、なぜ緊急的に薬価が引き下げられたのか。薬価が決められる流れと合わせてみてみましょう。
1人あたり“1年間で約3500万円”
オプジーボとは、身体の免疫システムに働きかける、新しいタイプのがん治療薬のこと。通常は免疫システムががん細胞を攻撃し、排除してくれるのですが、がん細胞の中にはに免疫システムをだまして、攻撃を受けずに生き延び、増殖するものが存在するのです。オプジーボは、がんのそういった『だましの手口』を妨害し、免疫システムに働きかけて、がん細胞への攻撃を続けさせることで効果を発揮します。ノーベル賞候補としてもたびたび名前の挙がる、京都大学の本庶佑客員教授らの研究が開発の出発点となりました。(詳しくはこちらのブログ記事をご覧下さい) 効果のあらわれ方は人によりますが、がんの免疫療法としては初めてと言っていいほど高い効果が期待でき、手術もできない、末期の患者さんの助けとなる可能性を秘めたオプジーボ。すごく画期的で、有望な薬なのですが、オプジーボは薬価(薬の値段)が高いことでも有名です。オプジーボを使った治療を、1人が1年間続けると、約3500万円かかります(2016年12月現在。薬の使用量は体重などによって変わるので、この値段は目安です)。「高額療養費制度」のおかげで、患者さんは医療費がどれだけ高額になっても、収入に応じた一定の負担で済みますが、残りを負担する国や地方、健康保険組合は大変です。 その高額な薬が半額になるなんて、驚きです。この報道に希望を見いだした患者さんも多いのではないでしょうか。しかし、そもそもなぜ、そんなに高くなってしまったのでしょう? 製薬会社がお金儲けしたくて値段をつり上げたのでしょうか? いいえ。実は、日本で保険適用される薬の値段を決めているのは製薬会社ではありません。 では、誰が、どうやって決めているのでしょうか? そして、今回の値下げの背景は何なのでしょうか? 薬の値段について、考えていきましょう。