「干されてもいい」腹くくった鬼越トマホーク──容赦ない毒、実は事前に事務所確認も
その男たち、凶暴につき。いまや好感度ナンバーワン芸人となったサンドウィッチマン、「優しいツッコミ」で話題沸騰中のぺこぱなど、お笑い界でも優しさのある芸人ばかりが愛されるこの時代に、いかつい外見の鬼越トマホークの2人は、見た目通りの危険な芸で注目を集めている。喧嘩の仲裁に入った共演者に容赦なく毒づく「喧嘩芸」だ。あえてリスクを負って誰彼構わず噛み付きまくる彼らは、どこへ向かうのだろうか。(取材・文:ラリー遠田/撮影:いわなびとん/Yahoo!ニュース 特集編集部)
注目を浴びた喧嘩芸
テレビの収録中、突然始まるコンビ同士の口論。それが「喧嘩芸」の合図だ。共演者が止めに入ると、坊主頭の坂井良多「うるせえな」と激昂。勢いのあまり仲裁者にも悪態をつく。相方の金ちゃんも「本当は思ってないと思うんですけど……」とフォローするふりをして、さらにどぎつい毒を浴びせる。 ゲスト出演した『スッキリ』(日本テレビ)では、MCの加藤浩次に対して坂井が「闇営業に便乗して自分だけすっきりしてんじゃねえ!」と噛み付き、金ちゃんが「加藤さんだけすっきりして後輩芸人は何も変わってないんで、あの茶番、何だったんだろうって思ってるだけだと思います……」と続けた。 彼らの喧嘩芸、実は数年前に深夜番組で披露済み。当時一部で話題になったものの、その後は忘れられていた。だが、昨年あたりから再び注目され始め、多くのバラエティ番組に出るようになった。 「僕らは大昔からやってたので、とうに終わってるものだと思っていたんですけどね」(坂井) 「『さんまのお笑い向上委員会』『ウチのガヤがすみません!』でやらせてもらうようになって、またちょっと波が来てますね」(金ちゃん)
ツッコミ不在の二段構えの猛毒
毒舌キャラのお笑いコンビといえば、普通は片方だけがきついことを言い、その相方はフォローに回るものだが、彼らの場合には両方が容赦なく毒を吐く。ツッコミ不在の二段構えの猛毒芸は斬新だ。 「正直、ツッコミが止める時代はもう終わったと思うんですよ。爆笑問題さんとかも、太田(光)さんがヤバい人に見えるけど、本当は田中(裕二)さんの方がめちゃくちゃヤバいんです。結局そっちの方が面白いなって思っちゃったんですよね」(金ちゃん)