「干されてもいい」腹くくった鬼越トマホーク──容赦ない毒、実は事前に事務所確認も
二段構えの毒舌で笑わせるためには、二発目の威力が一発目を上回っていなくてはいけない。最初に毒づく坂井の方が目立ちがちだが、実は金ちゃんの方がよりどぎついことを言っていることも多い。
「坂井は怒ってる口調だからひどいこと言っている感じになるんですけど、俺は『本当は思ってないと思うんですけど』って言って、ちょっと下から行くから意外と“刺せる”んですよね」(金ちゃん) 「徐々にみんな気付いてますけどね。本当にヤバいのは太ってる方だって」(坂井) 「お前も太ってるよ」(金ちゃん) ふたりが近年注目されるようになった理由の1つに、いい意味での「開き直り」がある。くすぶったまま芸歴10年目を迎えて「干されてもいいから好きなようにやろう」と思えるようになった。
「最近、いろいろな問題で、芸能界の中でも安定した地位をつかんだように見える人がパッと落ちちゃうこともあるじゃないですか。そういうのを見ていると、もう金とか権力は要らないから、人々の記憶に残るしかないと思うようになったんですよね。『なんか面白い変なやついたな』『ああいうやつらはほかにいなかったな』って思われたい。これを上の人に話したら『お前、それ通り魔と一緒の発想だぞ』と言われました(笑)」(坂井) 「僕らのキャラ的に、世の中の全員に愛されるのはたぶん無理なんです。だから、俺らと同じ世代のオッさんに笑ってもらえればいいや、って腹くくったんですよね」(金ちゃん)
意外と怒られない毒舌
決死の覚悟でいざ先輩芸人に噛み付いてみると、誰もが広い度量で受け止めてくれた。本気で怒られるようなことは一度もなかった。 「爆笑問題さんも千原ジュニアさんも、上の売れている人たちって、僕らぐらいの芸人に何を言われても全然気にしていないんですよ。それが分かったから、もう好きなこと言おうって思えるようになりました。最終的にはスタッフさんに使うかどうか判断してもらえればいいですからね」(金ちゃん)