注目のミュージシャン、クレア・ラウジーが奏でる「エモ・アンビエント」 ジャンルに縛られない音楽づくり
――アーティスト写真や「sentiment」のアートワークではタトゥーも目を引きますが、どんなこだわりがありますか。
クレア:アメリカの伝統的なタトゥーが好きなんです。最初に彫ってもらったのは、ランディ・コナーというタトゥー・アーティストで、彼のスタイルは独特で、新しい形の伝統的なタトゥーという感じでとても繊細で素晴らしい。その後、彼に弟子入りしていたベン・フィルダーっていうアーティストにも彫ってもらって、さらに彼の弟子であるブランドンのタトゥーも足にあります。彼らは互いに影響し合っていて、だからある意味、自分は彼らのグループの実験台になったようなもので(笑)。実はこの夏にも、お腹に大きなタトゥーを入れたいと思っていたのですが、でもツアー中だからちょっと怖くて、それに大きなタトゥーを入れたらしばらく休まなければいけなくなるかもしれないので、今のところ保留にしていて。タトゥー仲間は他にもたくさんいて、みんなそれぞれ個性的なスタイルだから見ているだけでも楽しいです。
タトゥーを彫ってもらう時は、その人がどんなものに興味を持っているかとか、普段どんな絵を描いているのかとか、そういう話をよくします。そうすると、その人が得意なスタイルで、自分にぴったりのデザインを考えてくれる。だからタトゥーって、ただ単に自分の身体に作品を彫るというだけではなく、アーティストとの信頼関係とか、その時の自分自身の気持ちとか、いろんなものが詰まっているんです。
――ちなみに、気分が落ちた時はあえてメランコリックなソングライターの曲を聴くそうですが、おすすめはありますか。
クレア:そうですね……グルーパーかな。あれは究極の悲しい音楽だと思う。私は悲しい時、だいたい2パターンの音楽を聴くんです。グルーパーやエリオット・スミス、スパークルホースみたいなメロウな音楽か、セシル・テイラーみたいな燃え盛るフリー・ジャズを聴くか(笑)。お風呂でエリオット・スミスを聴きながら泣くと気分が落ち着くし、セシル・テイラーをかけると狂ったように心がかき乱されて解放されていくような感覚になる。だから、この2つの極端な音楽を交互に聴くことで、感情を浄化しているのかもしれない。