注目のミュージシャン、クレア・ラウジーが奏でる「エモ・アンビエント」 ジャンルに縛られない音楽づくり
――先日のライブではアンコールで「Sigh In My Ear」を演奏する際に、「悲しい歌だからあまり歌いたくない」とMCで話していましたね。「Sigh In My Ear」は、音楽のスタイル的に「sentiment」への導線となった曲でもありますが、どんなエピソードがある曲なんでしょうか。
クレア:あの曲は自分で書いてレコーディングしたのですが、そのプロセス全体はとても楽しくていい経験でした。でも、完成してしばらく経ってから、その曲の本当の意味に気付いたんです。曲の前半は演奏してもいい感じなんですが、実は後半部分には、私の知り合いで、手首を切って自殺した人のことを書いた歌詞があって。だから、ライブで演奏するたびにその友達のことを思い出してしまって、すごく辛くなって。それに、ショーでこんな暗い曲を演奏するのは、ちょっと違うんじゃないかって思うようになったんです。観客にこんな悲しい歌を聴かせるのは、あまりにも残酷だって。
ただ、あの曲はやっぱり自分にとって特別な曲で、演奏するのはすごく勇気がいることでしたが、せっかく日本でのライブだったので、ここに来てくれたみんなに何か特別なことをしたいという思いがあったんです。
PHOTOS:TAKUROH TOYAMA