高齢化進む団地の商店街を大規模リノベ! 名物・商店街バーガー、駄菓子屋など新店も続々、子どもも高齢者も街歩きを楽しみだした 千葉県千葉市「花見川団地」
学生たちの力で蘇った「お休み処えがお」は、多世代交流の場に
見通さんは、MUJI HOUSEの業務としてワークショップやイベントを行い、自分ひとりががんばるのではなく、商店街の人や花見川団地が気になっている近隣住民、学生を巻き込んでいき、「花団もりあげ隊」という有志のグループを結成しました、当初は、商店街店主や自治会、団地居住者、学生、千葉市、UR、MUJI HOUSEの10名程度でしたが、回を重ねるごとに参加者は30名程度まで増えていきました。
「商店街には『何かしたいな』という人を引き付ける魅力があるんです。『イベント運営をしたい』『出店してみたい』という前提があるので、話が進めやすい。また、縁日イベントをやったら100人も集客するので、ポテンシャルは高いし、メンバーのモチベーションも高いなと思いました。花団もりあげ隊で意見を出し合うなかで、(1)商店街の専門店をまわってオリジナルのハンバーガーをつくる『商店街バーガー』、(2)『お休み処えがお』のリノベと駄菓子屋兼フリースペースとしての運営というアイデアが生まれ、実施することになりました」(見通さん)
特に課題だったのは、「お休み処えがお」。空き店舗となっていた場所を利用した休憩場所として運用していたのですが、ゴミの放置や飲酒・仮眠など問題行動が起きてしまい、商店街の人の悩みのタネだったそう。 そこで無印良品の店舗でアルバイトをしていた大学生たちに声をかけ、「お休み処えがお」のリニューアルに取り組みました。ちょうど建築を学ぶ学生、経営を学ぶ学生がいたのでチームを組んでもらい、千葉市にプレゼンをして助成金を申請。補助金を利用してDIYし、現在も運営を行っています。
「この『えがお』に駄菓子屋さんをつくったら、子どもたちの姿が見えるようになったんです。今までどこにいたんだってくらい、毎日20~30人が必ず来ているんです。子どもの居場所をつくったら、さらに高齢者も商店街にやってきて『子どもが元気でいいねえ』となって、もちろんそのお母さんたちも増えて。人の居場所をつくるってこんなにも大事なんだっていうのを、今回、『えがお』のリノベーションで痛感しましたね」(見通さん) 単なる空き店舗に椅子を置いただけだと乱雑に使われてしまいますが、きれいにデザイン、管理されていると、人はちゃんと使うようになる。当たり前のようですが、建築の不思議な力といえるでしょう。こうして、学生、子ども、高齢者と多世代が集まれる地域のコミュニティスペース「えがお」ができたことが、花見川団地にさらなる人を呼び込む結果となり、空き店舗に徐々に新しいテナントが入るようになりました。 そのうちのひとつ、コンテナがそのままテナントスペースに置かれた「THEコンテナ」というお店では、古着&ドーナツを商っています。この「THEコンテナ」は、子どものころ花見川団地で育ち、現在は花見川団地の近くに住んでいる人が立ち上げたお店で、花見川団地のために何かしたい、という思いから出店したのだそう。コンテナが丸ごと入っているなんて、斬新すぎる……。また、団地を「シェアハウス」として活用するグループもいて、こちらも計画が進行中だとか。クリエイティブな活動がはじまると、またひとつ、またひとつと人を呼んでくるのは本当に不思議ですね。