[懐かし名車] 日産Be-1/パオ/フィガロ:“パイクカー”という文化を創造したクルマたち
ベースになったモデルがあるとはいえ、たっぷりコストをかけて新規に内外装を仕立てたクルマ。しかも100万円台のコンパクトカーとなると、ふつうは何十万台も売らないと採算はとれない。日産が昭和から平成にかけて発売した、Be-1をはじめとする「パイクカー」は、利益を度外視した特注生産のようなクルマ。それは“バブル”という時代だからこそ生まれたといっていいクルマたちなのだ。 【画像】[懐かし名車] 日産Be-1/パオ/フィガロ ×23枚
1985年東京モーターショー・日産ブースの主役は、丸い2灯ヘッドランプの可愛いヤツだった
ちょっと古い話だが、「時代と寝た女」とは、写真家の篠山紀信氏が山口百恵さんの引退に際して彼女を評した名言だった。百恵さんの芸能人としての活動期間は、わずかに8年。けれど、同時代を生きたすべての人が、彼女と過ごした濃密な時代を思い出し、それぞれに体験したエピソードを語ることができるに違いない。 百恵さん引退の5年後、1985年10月の東京モーターショーに出展され、日産ブースの主役のはずだったMID4をしのぐ大反響を呼んだ「Be-1」は、さしずめ時代と寝たクルマだった。丸い2灯のヘッドランプを持つかわいい表情を見れば、誰もが華やかなあの時代の自分の思い出を語りたくなることだろう。 【日産Be-1キャンバストップ(5MT)】●全長×全幅×全高:3635×1580×1420mm ●ホイールベース:2300mm ●車両重量:680kg ●エンジン(MA10S型):水冷直列4気SOHC987cc ●最高出力:52ps/6000rpm ●最大トルク:7.6kg-m/3600rpm ●燃料タンク容量:40L ●10モード燃費:20.5km/L ●トランスミッション:5速MT ●最小回転半径:4.4m ●タイヤサイズ:165/70HR12 ●乗車定員:5名 ◎新車当時価格:139万3000円 ◆昭和60年の東京モーターショー、Be-1は多くの高性能車に混じって存在感を放っていた。内装を含め、ショーモデルをほぼ忠実に再現し市販された。 ◆Be-1が発売されたのは1987年。先着順の販売で限定台数は1万台。購入希望者が殺到したことでも知られている。 ◆1985年の東京モーターショーで主役と目されていた「MID4」。その後、紆余曲折もあって市販モデルとしては販売されなかったが、当時多くのクルマ好きの話題を集めていた1台だった。