高級車ブランド「インフィニティ」旗艦モデルに採用…日産が開発、金型磨きを機械化する切削工具の効果
日産自動車は金型製作時の磨き作業を機械化する切削工具を開発した。北米向けの高級車ブランド「インフィニティ」の旗艦モデル「QX80」の外板部品用の金型製作で同工具を採用した。金型の高精度化・高品質化により意匠性を高められるほか、熟練作業者による重作業を削減し働きやすい環境づくりに貢献できる。 【写真】日産自動車が開発した「金型磨きレス加工用工具」 開発した「金型磨きレス加工用工具」は、切削加工と加工面を平滑にするバニシング加工を同時に行う立方晶窒化ホウ素(CBN)ボールエンドミル。刃先に特殊研磨を施し、切り粉の発熱と刃先の摩耗を抑制。刃先形状と最適な加工条件により、工具の回転数や送り速度を変えることなく面粗度を向上できる。 通常の切削加工に比べて加工時間はかかるものの、後工程の人による磨き作業を削減することで「全体としては加工時間の短縮が図れるほか加工品質を向上できる」(車両生産技術開発本部)という。今後は技術開発を進め、順次適用する車種を広げる方針だ。 金型製作では機械加工後に、熟練作業者による砥石(といし)やサンドペーパーを使った磨き作業が発生する。技術の習熟や作業者の確保に加え、重作業で負担が大きいのが課題だった。 また、磨き作業によりCADデータと実際に加工する金型の一致率が低下する傾向にあるため、最終製品である外板のデザインに影響を与える場合があった。デザイナーの意匠を再現するため、機械化により作業のバラつきを軽減することが求められている。