[懐かし名車] 日産Be-1/パオ/フィガロ:“パイクカー”という文化を創造したクルマたち
日産のパイクカーへの挑戦は、世界からインスパイアされ、そして普及していった
ただし、日産はそうして創造した新しい試みを、継続して育てることはできなかった。少量生産のパイクカーではできた新しいスタイルの提案が、量産車にフィードバックされず、1990年代末には経営危機にまで追い込まれてしまう。 一方で世界には、パイクカーたちにインスパイアされた成功者も出た。VWのニュービートルや、BMWがローバーを買収して送り出したニューミニ、フィアット500など。クライスラーのPTクルーザーも、そのひとつだろう。 しかし、自社の過去の名車を下敷きに、最新の技術で仕立て直したVW/BMW/フィアットと比べると、自動車の持つ普遍的な魅力に時代が求めるエッセンスを加え、白紙から新しい価値を生み出した日産のパイクカー達は、より挑戦的だったとも言える。現在の日本でそれを実現できているのは、水戸岡英治氏のデザインで話題になった観光列車がそうだろう。いつの時代にあっても、乗り物の普遍的な魅力や価値に、時代が求める夢や空気を加えた商品が求められていることを、その成功は示している。
────────── ●文:横田晃(月刊自家用車編集部) ※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
月刊自家用車編集部