帰ってきたファン声援がドラマ生む…名古屋、大阪、福岡で”3都サヨナラ物語”…中日・京田の感謝スピーチが泣ける
楽天の4番手,J.T.シャギワの4球目のツーシームだった。この回先頭の柳田が快音と共にコンタクトした打球はバックスクリーンの左へ高々と舞い上がった。サヨナラ本塁打の余韻を楽しむかのようにギータはフォロースルーのバットを天に向けて止めたまま、薄笑いを浮かべた。 「やっぱりいつも以上に、拍手とかがあって、選手みんなが引き締まったかと思います」 1993年のドーム開場以来、本拠地通算1000勝となるメモリアルが重なった。記念のTシャツを着た柳田は、スタンドで見守ってくれているファンへ感謝を伝えた。 ソフトバンクは、この日、行われた5つのスタジアムで、唯一、録音した応援テーマを場内に流して、いつもの野球場の雰囲気を作り出そうとしていた。 柳田は、突如、先制アーチを放った松田の話を始めた。 「松田さんが(客入れを)一番喜んでいましたよ。いきなりホームランを打ちましたし。“やっぱり、おれはプロ野球選手だ、お客さんあっての“とベンチで言っていました。松田さんは、真のプロ野球選手です」 ファンの力を魂の一打に変えた松田を引き合いに出して、ギータらしく、いかにファンの力が偉大であるか、を伝えたのである。「柳田選手も真のプロ野球選手では?」とふられて「僕は必死にやっているだけです」。ソフトバンクは首位の楽天との対戦成績を2勝2敗に戻した。 ファンの応援や声援が、アスリートのパフォーマンスや試合結果に、どのような影響をもたらすのか、という研究や検証は世界中で行われ、多くの論文が発表されている。統計学に基づくものや、スポーツ医科学的な見地から影響を検証したものもあるが、「効果、影響がある」と断定するものがある一方で、「因果関係はない」というデータを引っ張りだして結論づけているものもあり、学術的には、まだ根拠のある定説としての結論は導かれてはいない。 だが、ファンの応援という「目に見えぬ力」は、この日、3本のサヨナラ本塁打、5試合すべて1点差ゲーム、ホームチームが4勝1敗という説明のつかない答えを出した。