タクシー業界の活路は? ウィズコロナ時代、生き残れるか【#コロナとどう暮らす】
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛やテレワークの拡大などによって人々の生活は大きく変わりました。タクシーの利用客は全国的に大幅に減少。厳しい需要の収縮にこらえきれずに廃業するタクシー会社がある一方、飲食物の有償デリバリー事業に取り組む会社も相次いでいます。交通経済学の専門家は、人を輸送する従来の業務だけでなく、他分野への進出がタクシー業界の活路となり得ると指摘します。
本当に人の動きがなくなってしまった
「肌感覚では、3月にもイベント自粛の動きによって需要が減りましたが、国の緊急事態宣言が出た4月以降は、本当に人の動きがなくなってしまった」 こう語るのは、東京の大手タクシー会社・日本交通の広報担当者です。 国が緊急事態宣言を出した4月における同社グループの売上高は、前年同月に比べて約7割減に。5月も約6割減と、いずれも前年の半分以下にまで落ち込みました。需要の減少に対応するため、同社では緊急事態宣言の期間中、稼働するタクシーを保有車両の4割程度に落として供給量を調整。それによって休まざるを得なくなった乗務員には、会社から休業手当を支給して、従来の給与とほぼ同額を受け取れるよう調整しました。 タクシーの業界団体である全国ハイヤー・タクシー連合会が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による営業収入の変化についてサンプル調査(各都道府県で5社以上を抽出)を行ったところ、4月の全国の営業収入は前年同月の37.9%、5月も37.2%と、需要が大きく落ち込んだことを示す結果が出ました。特に、世界的な観光地である京都府は国内外の観光客の急減を受けてか、4月が同20.1%、5月も同14.0%と全国平均の約半分に低迷しています。
外出自粛やテレワークの拡大に加え、訪日外国人も4月、5月はそれぞれ前年同月に比べてなんと99.9%減に(政府観光局調べ)。移動ニーズは大幅に縮小し、タクシー業界は大打撃を受けました。国土交通省自動車局によると、新型コロナウイルスの影響を理由に事業廃止届を出したタクシー会社は、5月末時点で9社(栃木が2社、山梨、大阪、愛媛、徳島、北海道、山形、福岡は各1社)あったそうです。7月17日の時点で、6月以降のとりまとめはまだ行っていないとのことでしたが、更に増えている可能性もありそうです。