平成から令和へ、『GALS!』が繋ぐギャルカルチャーの軌跡と魅力
平成を語る上でギャルの存在は欠かせない。平成初期に彼女たちは、ギャルからコギャル、マゴギャルへと細分化し、社会現象とまでになる。 当時はその強烈な存在感が揶揄されたところもあったが、令和では、どこまでもポジティブで明るいギャルの存在やマインド面が評価される時代になった。 『GALS!』は、『りぼん』で1999年から2002年まで連載され、平成ギャルの世界が描かれた少女漫画だ。明るく天真爛漫な主人公、寿蘭を中心に、渋谷を舞台にしてギャルの世界が繰り広げられる。 当時、世間をにぎわせた平成のギャルとはなんだったのか。今回は伝説の少女漫画、『GALS!』そして、その続編『GALS!!』の作者・藤井みほな先生に、改めて平成のギャルについて、そして令和のギャルへの想いも語ってもらった。
伝説のギャル漫画『GALS!』が描かれた背景
『GALS!』の連載が始まった1999年は、まさに平成ギャルが全盛期の時代だった。1990年代以降、渋谷センター街には若者がたむろし、女子高生の援助交際が社会問題となっていた。 また、渋谷や池袋では、チーマーやカラーギャングたちが血気盛んで、治安の悪さが問題視されていたような時代だった。ギャルもまた然り。当時は、平成ギャルの黎明期の象徴とも言える、女子高校生を筆頭とした「コギャル」が世間をにぎわせていた。藤井先生がギャルに興味を持ったきっかけはなんだったのだろうか? 「当時、コギャルは社会から“治安の悪い街にいる、いかがわしい存在”と思われていました。 コギャルがメディアに取り上げられると、キワ者扱いだったり、バカにされたり、笑い者にされたりしていて。でも、本当にそうなのかなと思って、実際に渋谷に通ってコギャルたちを観察したんです。 そうしたら、メディアのイメージと違って、とにかくオシャレでみんなかわいくて、超インパクトがあってびっくりしましたね」 当時の週刊誌やテレビといったメディアでは、ギャルの行動や発言がフォーカスされていたが、その一方で、彼女たちから生み出される派手なファッションは、渋谷やストリート雑誌を中心に高校生の間で人気を博していた。 彼女たちのファッションや、怖いもの知らずのパワーに藤井先生も圧倒され、夢中になったという。 「SHIBUYA109あたりでも観察していたのですが、やっぱり、ギャルのコたちってものすごくオシャレで、とても元気なんですよね。次第に、この彼女たちのポジティブで明るくてオシャレな、良い部分を描きたいなと思って」