平成から令和へ、『GALS!』が繋ぐギャルカルチャーの軌跡と魅力
「むしろ、私にしかギャルの漫画は描けない!世間のイメージをガラッと覆してやろう!とすら思いました(笑)。 ちょうどその時に、担当さんから次の連載について電話が来て、その電話で速攻「ギャルの話を描きます!」と言っちゃって。担当さんも面白そうじゃん!と言ってくださって、すぐに『GALS!』の連載が決まりました」
渋谷のカリスマギャル・寿蘭はどんなギャルだったのか?
『GALS!』の主人公・寿蘭は、ギャルの中でも渋谷を代表とするギャルだ。渋谷や学校でも有名で、目立つ存在でありながらも、真っ直ぐな性格で、正義感が溢れている。そのギャップが魅力的に描かれ、多くの読者から支持を得た。 『GALS!』の作品で、それまで、近寄り難い存在だったギャルに憧れを抱いた読者もいただろう。渋谷は近寄りがたい街から若者文化の発信地になっていった。 藤井先生にとってギャルという存在は、エネルギーの塊で「陽」を感じる存在だという。その中でも、主人公であり、渋谷のカリスマギャル・寿蘭はどのような存在だったのだろうか。 「私の中で蘭ちゃんっていうのは、ものすごいエネルギーの塊で溢れているコ。一見パリピだけど、自分さえ良ければいいとかじゃなくて、友だちのことを真剣に考えるとか、自分がこうだって思ったことを恐れずに貫き通す筋の通った女のコですね」 渋谷のカリスマギャルという存在ながらも、蘭の家庭は、警察一家という設定だ。蘭の真っ直ぐな性格の背景には、たまたま電車で耳にした、理不尽な理由でイジメられているコを救おうとするギャルたちの会話があったという。 正義感が強く、悪いことは許さない。一本筋の通ったコギャルの設定には何がいいかと考えたとき、警察官一家の娘にしようと寿蘭の設定は決まった。 「蘭ちゃんは自分をしっかり持っているから、本音で喋って、ズバッと意見を言って、いつでも本気で相手にぶつかる。 だから、どんなに性格が違ったとしても、みんな蘭ちゃんの一言でハッと気づくなんていうことも。みんなの発想を転換させてくれる特別な存在です。素直で自分を飾るといったことはできないコだから、恋愛面ではちょっと不器用ではあるんですけどね(笑)」