平成から令和へ、『GALS!』が繋ぐギャルカルチャーの軌跡と魅力
平成ギャルを謳歌する、オシャレで元気な『GALS!』のファッション
そして、『GALS!』の世界を彩る、各キャラクターのファッションも忘れてはならない。 主人公の蘭はもちろんのこと、美由や綾と、皆それぞれ自分たちの好きなファッションを着こなしている。 3人のヘアスタイルやアクセサリー、細かいパーツの描き込み、またシーンや1話ごとに変わるギャルファッションに憧れた読者も多いと思うが、連載時に藤井先生が参考にしていた109ブランドやファッションの設定などはあったのだろうか。 「蘭ちゃんは生粋のアルバっ子。アルバローザ(ALBA ROSA)を着ていたから、109じゃなくてマルイシティの方でお買い物をしていた設定で、109ブランドだとエゴイスト(EGOIST)とかを着ていましたね。綾ちゃんはセシルマクビー(CECIL McBEE)で、美由ちゃんはココルル(COCOLULU)という設定です」 『GALS!』の連載当初は、当時高校生だった各キャラクターも旬なギャルファッションをオシャレに着こなしているが、続編の『 GALS!! 』では、各キャラクターの恋愛模様が描かれるにつれて、大人っぽさが増したり、ガーリーなファッションに変化したりしているのも特徴的だ。 目まぐるしく変わる平成ギャルのファッションが丁寧に描かれているのも『 GALS!』の世界の魅力だろう。 「忙しいときは2週に1回ですが、毎週109に小さいメモ帳を持っていって、ショップが推しているマネキンの服とかをとにかくスケッチしていましたね。流行のサイクルが本当に早いから、毎回同じ服を描いていると、流行に乗り遅れてすぐにダサくなっちゃう。 なので、当時の109の地下2階から7階のフロアまで、全部チェックして、流行りのアクセサリーの系統とかを、とにかく全部調べてひたすら描いていました」
不滅であり続けてほしい、平成のギャル魂
令和に入ってからギャルのイメージは、平成の頃と比べて、ポジティブに捉えられ評価されるようになった。SNSでも「ギャルマインド」について、よく話題になっているが、『 GALS!』で寿蘭を象徴とする「ギャル」と令和でイメージされるギャルについて、違いを感じるようなところはあるのだろうか。 「令和のギャルは、蘭ちゃんたちとは、また違うギャルという風には思いますよね。蘭ちゃんたちは、やっぱりあの時代特有の『コギャル』。 1990年代初頭の『ギャル』というと、六本木に通う大学生やOLなどの、ちょっと大人のお姉さんがそれにあたるけれど、そこまで大人っぽくなりきれない女子高校生世代の女の子たちが『コギャル』を名乗るようになり、安室奈美恵さんなどが彼女たちのファッションリーダーになりました。 その下の中学生は『マゴギャル』、小学生は『ヒマゴギャル』みたいな感じになって。なので、当時の『ギャル』と『コギャル』は概念がちょっと違っていたように感じるかな」 藤井先生曰く、コギャルはひとつのカテゴリーで、ギャルという大きなカテゴリーの中に、コギャルというカテゴリーがあるイメージだ。 その理由には、コギャルが10代の間だけに許される、ひと時の青春だからだという。 令和からイメージされる包括的なギャルとコギャルの一番の違いはそこにある。藤井先生にとって、コギャルの魅力はどこにあるのだろう。 「やっぱり内側からのエネルギーがありましたね。何より、一番大きかったのは彼女たちのエネルギー。いきなり、パレオとハワイアンレイで街を闊歩したり、ハイビスカスのストラップを学生カバンにバーっと付けて学校に行ったり。 なんかこう、私たちが景気を良くするんだぞみたいな。そういうのって、あの時特有のエネルギーですよね。あれは、平成の時代だったからこそ、盛り上がった感じもありますよね」